そこに、あなたがいてくれるから 《後編》

F 54 ページ18

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………頭が、重い。


なんだ…これ…。


頭の中が波打ってる感覚…。


いろんな出来事が出て来ては消え…

出て来ては消えて…




「太輔？」


渉の声……？




ゆっくりと目を開けると


「太輔、大丈夫？」


心配そうに俺を覗き込む渉が居た。



あぁ、そうだ。


俺、倒れたんだ…。



「わた…。

ん、大丈夫」



北山の告白されてるとこに、また遭遇して…。


……また、か。



渉の横に気配を感じ、視線を移すと…


北山だ。


…北山が、来てくれてる。


……どうすればいい？


どう北山に対応するのが答えなのか
わからない。




「…藤ヶ谷、大丈夫か？」


「……あぁ」


いつもの素っ気ない返事しか出来ない。


さっきまでの俺なら、

お礼くらい簡単に言えるのに…。




「よかった。

…じゃあ、帰るわ」


だよな…、北山もわかるよな…。


あからさまな態度の違いだ。



「ミツ？！」


渉が慌てて北山を呼ぶ。


「…記憶、戻ってよかったな」



ほら…


もう北山は俺に一線を引いた。



わかってる。



わかってた…



こうなることくらい、わかってた。




「じゃ、ゆっくり休めよ」



終わった…



…北山の傍に居られる日々は、終わったんだ。



北山が部屋から出ていく。



「太輔？！」



「…わかってるよ、
俺が今まで通りにしたらよかったんでしょ」


不満そうだった渉の顔が、驚きに変わる。



「記憶……


…ミツを忘れてた間の記憶もあるんだ？」



「ん、全部」



頭ん中がおかしくなりそうなくらい…


…北山に甘えるような俺を覚えてる。



今の俺には出来ない。


あんな素直に北山と戯れることなんて…。


どうやったらいいのか、

さっきまでの自分がわからないんだ。





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