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ホラー ※流血表現有 ページ34

息を潜めて物陰に潜む。
バクバクと高鳴る心臓を服の上からぎゅっと押さえた。

月明かりが暗い部屋に差し込んで、幻想的なイメージを与えた。

草木も眠る丑三つ時。

しんと静まり返った部屋にコツリと不似合いな程に響く靴音。

規則的に響くそれが不意に止まった。
聞き慣れたはずの扉の開閉音が嫌に耳についた。

キツく目を瞑って、早く解放されたいと願う。

***

暗闇が視界を覆い尽くして、先程の光景が映し出された。

ぐちゃりと飛び散る赤い鮮血。
ビクビクと痙攣して、やがて静かに息絶えた両親。
吐き気を催すような、嗅ぎ慣れない臭い。

ゆっくりと振り返る二対の目。

恐怖で震え上がる自身の体。

声が、出ない。

"ソイツ"の腕が伸びてきて、死を覚悟したその時。

耳を貫くような甲高い声。
まだ一歳にも満たない妹の泣き声。

"ソイツ"は伸ばしていた腕を止めて妹の方へ足を向けた。

じっと妹を見下ろして、見せ付けるようにして包丁を持ち上げた。
刹那、勢いよく降り下ろされるそれ。


妹の死を認識した時には既に血が溢れて泣き声は止んでいた。


体が固まっていたことなんて忘れるくらいに早く足を動かして空いていた部屋に飛び込む。

タンスの中に身を隠して、荒くなった呼吸を整える。

呼吸をすることを忘れていたようだ。
深呼吸を数回繰り返して、暴れる心臓を落ち着かせる。

コツリと響いた靴音に、息が止まる。

まだ、まだだ。
まだ"ソイツ"はそこにいる。



ギイっと開いた扉の向こうにはゾッとする程に優しい笑みを浮かべた兄が。





─ホラー─END

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八重(プロフ) - カシオペアさん» ありがとうございます!!まさかこっちまで読んで頂けるとは……その上コメントまで……本当に感謝します(*/□\*)上手なんて、恐縮です……(でも嬉しい)頑張ります!ありがとうございます!本当に!!! (2017年7月3日 21時) (レス) id: e19e44ac0b (このIDを非表示/違反報告)
カシオペア - ヒロアカの方を読んだので、こちらものぞいてみましたが本当に文を書くのが上手なんですね。一つ一つが短くて読みやすいです。更新、頑張ってください! (2017年7月3日 20時) (レス) id: 972c361b83 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八重 | 作成日時:2017年4月24日 2時

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