ケモノ少年 ページ33
目の前で倒れた少年を呆然と見つめる。
何だ、この少年は。どこから来た。
今さっきまで、そこには誰にもいなかったはずだ。
もぞりと動いた少年にびくりと大きく肩が跳ねた。
ゆっくりと半身を起こした少年を息を潜めて見守る。
スス汚れた、白くて大きめのTシャツを着て、そこから延びた手足は木の棒のように細く、痛々しい痣が複数出来ている。
思わず顔をしかめる。
見たところ、まだ小学生くらいじゃあないか。
少年のぼんやりとした視線が徐々に定まって、私の姿を捉えた。
と思った途端、怯えたような顔をして部屋の隅へと逃げるように走った。
ピンと張った両耳に、違和感を覚える。
耳を見ているのに気が付いたのか、先程とは一変して重心を低くして唸る少年。
その耳と相まってまるで毛を逆立てたケモノだ。
──ああ、そうか。この子は。
ふっと頬を緩ませて視線を合わせるようにしゃがみこむ。
「大丈夫。何もしないから」
もう一度大丈夫、と囁くように言って、手を差し出す。
怖かったね、と言うとゆっくりと力を抜いていく少年の顔が安心したようにくしゃりと歪んで、透明な雫が頬を伝った。
「少年、キミの名前を教えてくれないかい?」
─ケモノ少年─END
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
八重(プロフ) - カシオペアさん» ありがとうございます!!まさかこっちまで読んで頂けるとは……その上コメントまで……本当に感謝します(*/□\*)上手なんて、恐縮です……(でも嬉しい)頑張ります!ありがとうございます!本当に!!! (2017年7月3日 21時) (レス) id: e19e44ac0b (このIDを非表示/違反報告)
カシオペア - ヒロアカの方を読んだので、こちらものぞいてみましたが本当に文を書くのが上手なんですね。一つ一つが短くて読みやすいです。更新、頑張ってください! (2017年7月3日 20時) (レス) id: 972c361b83 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:八重 | 作成日時:2017年4月24日 2時