夏 ページ19
「"夏"って言って思い浮かべるのって何？」
八畳しかない小さな部屋に"彼女"の声が響く。
「何、どうした急に」
少し困惑してそう問うが、"彼女"は手元の本から目を離さない。
「"夏"って言って思い浮かべるのって何？」
また同じ質問をする"彼女"に、更に困惑しながらも考える。
「うーん…………海、とか？」
青い海に青い空。眩しく光る太陽と真っ白な雲。
そして海岸には水着姿の女の子……と考えてギロリと睨まれる。
心を読んだかのようなタイミング。怖い。
「ふうん」
自分で聞いてきて、興味のないような答え。
「私はね、"死"なんだ」
「"生"じゃなくて？」
何で、と声を漏らす。
「虫の死骸を見るから。……って言っても、蝉くらいしか知らないんだけどね」
表情を一切変えず淡々とそう言う彼女に、何故だろう。少し胸がざわつく。
「人もさ、死ぬと思うんだ」
夏休みなんて長期休暇があるし、と言いながら顔をあげる"彼女"は恐ろしいほどの真顔。
一体、何を、考えているんだ。
「私ね――』
パチ。表すならそんな感じ。
驚くほど目覚めが良い。
「なんで、」
その先の言葉は声に出さず、飲み込む。
「"夏"は"死"の季節」
八畳しかない小さな部屋に声が響いた。
─夏─END
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八重(プロフ) - カシオペアさん» ありがとうございます！！まさかこっちまで読んで頂けるとは……その上コメントまで……本当に感謝します(*/□＼*)上手なんて、恐縮です……(でも嬉しい)頑張ります！ありがとうございます！本当に！！！ (2017年7月3日 21時) (
レス) id: e19e44ac0b (このIDを非表示/違反報告)
カシオペア - ヒロアカの方を読んだので、こちらものぞいてみましたが本当に文を書くのが上手なんですね。一つ一つが短くて読みやすいです。更新、頑張ってください！ (2017年7月3日 20時) (レス) id: 972c361b83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：八重 | 作成日時：2017年4月24日 2時
