お盆 ページ16
「なあ、お前」
静まり返った部屋にあの人の声が響く。
こうして呼ばれたのは何年ぶりだろうか。
そう思いながら返事をする。
「はいはい、何ですか」
あの人はぼうっと遠くを眺めながら呟くように話す。
「あれから、何年経っただろうな」
「さあ、二十年くらいじゃあないですかね」
記憶の糸を辿るように目を閉じたあの人に従って、同じ様に目を閉じる。
「なあ、お前」
二度目の呼び掛け。
「はいはい、何ですか」
今日は、よく話しますね。
そう言って次の言葉を待つ。
「もうすぐだぞ」
もう暫く待ってくれ、と言うあの人に勿論です、と答える。
「迎えはお前が来ておくれ」
早く会いたい。
その言葉は声にはならずに口だけが動く。
目を閉じたその人はまるで眠っているようだ。
「さあ、お迎えに来ましたよ」
ああ、と呻くように言ったその人の瞳から涙が溢れる。
「あらあら、泣き虫ですね」
そっとその背に手を添えて歩き出す。
「これからはずっと一緒ですからね」
─お盆─END
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八重(プロフ) - カシオペアさん» ありがとうございます！！まさかこっちまで読んで頂けるとは……その上コメントまで……本当に感謝します(*/□＼*)上手なんて、恐縮です……(でも嬉しい)頑張ります！ありがとうございます！本当に！！！ (2017年7月3日 21時) (
レス) id: e19e44ac0b (このIDを非表示/違反報告)
カシオペア - ヒロアカの方を読んだので、こちらものぞいてみましたが本当に文を書くのが上手なんですね。一つ一つが短くて読みやすいです。更新、頑張ってください！ (2017年7月3日 20時) (レス) id: 972c361b83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：八重 | 作成日時：2017年4月24日 2時
