ダンス（白） (ページ37)

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Aside

ラウが連れてきてくれたのは水族館だった。

最近できた水族館らしく、人がとても多い。

私は人が多いところが少し苦手だ。

だから、自然とラウの手を強く握っていた。

ラウは手を引いてリードしてくれる。

それがすごく嬉しかった。

歩いていくと、水槽トンネルがあった。

水槽トンネルにはエイが何匹かいる。

その何匹かのうち、一匹にハートの模様があるらしい。

そのハートの模様のエイが上を通ったカップルは、永遠に結ばれるらしい。

そのこともあって、水槽トンネルの中はカップルで溢れかえっていた。

ラウール(ハートのエイ、待ちます？)

私(せっかくだから待ってみるか。)

ラウール(まぁ、こんなことしなくても僕たちは永遠に結ばれますけどね。)

私(そ、そうだね。)

しれっと恥ずかしいことを言ってくる。

私たちは、エイが通るのを待つことにした。

でも、たくさんエイがいるのでどれがハートのエイなのか、なかなか分からない。

すると、向こうからカップルの声が聞こえた。

カップル(ねぇ！今、通ったよね！)

みんな、その声の方を振り向く。

すると、本当にエイがいたのだ。

そのエイと目が合った気がした。

そのままこっちに来るかと思ったが、そんな簡単に行くこともなく、ハートのエイは反対の方に行ってしまった。

私(あぁっ)

ラウール(向こう側、行っちゃいましたね。)

私(行っちゃったね。もう、諦めるか。ここに居すぎても迷惑だもんね。)

ラウール(そうですね。)

諦めて、水槽トンネルから離れようとすると・・・

「ピチャピチャ」と上から音がした。

音のした上を見ると、そこにはハートのエイが。

しかもエイは通り過ぎるのではなく、止まってこちらをじっと見つめていた。

どこか微笑んでいる気がした。

とても、ビックリしたが何より私がビックリしたのが・・・

ラウール(あっ！エイだ！すごーい！)

ラウがめちゃめちゃ喜んでいたことだ。

周りの人がジロジロ見てくるほどだ。

私(ちょっ、ラウ！声デカいって！)

私はその場に居るのが恥ずかしくなって、自然とラウの手を引いて走っていた。