ダンス（白） (ページ36)

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ラウールside

今、僕はAと手を繋いでいる。

さっき、僕が「かわいい」とA先輩に言うと、A先輩は照れてくれた。

A先輩は「からかっている」と思っているっぽいが、僕は本当にかわいいと思ったからそう言っている。

僕は、そう簡単に「かわいい」とは言わない。

それを連発して僕から出すことが出来るA先輩は、本当に魅力的でかわいいんだと思う。

目的地に向かうため、電車に乗る。

A先輩は目的地を知らないので、少し焦っている。

ラウール(ここから駅を5つ行ったら着きます。)

私(分かった。)

ラウール(どこ行くか気になりますか？)

私(そりゃあ、気になるよ。なに？教えてくれるの？)

ラウール(いや、教えません。)

私(なんだよぉ〜。気になるじゃん！)

ラウール(まぁ、楽しみにしておいてください。)

こういう何気ない会話が僕は好きだ。

このまま電車にずっと乗っていたいなぁと思ってしまう。

でも、今日はデートだ。

A先輩には内緒にしているが、今日は水族館に行こうと思っている。

近くに新しい水族館ができたらしく、それを聞いてからA先輩と行きたいなぁと思っていた。

最近できた水族館だから、若い人に人気で結構人が多いらしい。

ここなら、A先輩と楽しめるんじゃないかなと思った。

目的の駅に到着して、歩いて水族館へ向かう。

A先輩とはずっと手を繋いでいる。

とても幸せだった。

そして、しばらく歩くと水族館の入り口が見えてきた。

A先輩も勘づいたらしく・・・

A(もしかして・・・水族館？)

と聞いてきた。

ラウール(はい、そうです！水族館です。あそこの水族館、最近できてすごい人気なんです。だから楽しめるかなぁって。)

A(そうなんだ。ありがとね、私のために考えてくれて。)

ラウール(いえいえ。)

A(久しぶりだなぁ、水族館。小さい頃に家族と行ったっきりだもん。だから、すごい楽しみ。)

ラウール(そうだったんですか？なら嬉しいです！)

A先輩が喜んでくれて嬉しかった。

「今日は絶対にA先輩を楽しませるぞ！」

僕はそう決めて、A先輩と一緒に水族館のゲートを通った。