いらっしゃいませこんにちは。【w.r.w.r.d.!】

今日も今日とて9 ページ9

いらっしゃいませおはようございます〜









どうも。おはようございます。

中村です。


今ここでこうしてまた働けているのが不思議なくらい、昨日の一件では命の危険を感じました。




結局あの後、グルッペンさんと名乗ったあの方と何気ない話をしながら家に帰った。

私の家はここからそこまで近くはないため徒歩でもあまり時間はかからないが、昨日はもっと短く感じた。




家も完全に知られたから、なんかまたこんなことがありそうだ。
まあ、楽しかったから別にいいけどな。



お客様と勤務中以外で話すのなんて初めてだ。






……………







「中村ちゃぁん……僕仕事嫌だよぅ…………」




「…………どうか、なさったんですか？」







お客様がチラホラと店内にいる中、そのうちの一人である常連さんその1がレジ前に立っていた私に泣きついてきた。



いつもより早い時間に来た彼の顔は青白く、濃いクマを拵えて今にも倒れそうなほど弱々しい。




する事も一旦は終わって手持ち無沙汰だったので、(と言うのは建前で、返答しないと何となくまずいから)彼に声をかける。





「あんなぁ、上司がなぁ、俺にだけ当たり強いねん。」





他の同僚には普通なのに…なんてぼやく彼の目もとはすこし赤く腫れていた。


なんだか居たたまれなくなって、思わず彼の目元を指先で撫でる。







「………こんな赤く腫れるまでこすっちゃ駄目ですよ。私には応援しか出来ませんが…頑張ってください。」





「っ…………」







笑顔を作り彼に優しく告げる。

すると、すこし驚いた様な表情を見せながらも、彼はへニャリと笑ってお礼を言った。




今日は何も買わないのか、そのままいつものように出口へと歩いていった彼の背中はなんだか寂しげだ。






「…行ってくるなぁ、中村ちゃん。」




「ありがとうございました、行ってらっしゃいませ〜」






彼が出ていってからも、寂しげな背中が脳内にこびりついて残っている。



…正社員になると、色々大変だな。




…………私、こんな人生でいいのかな。なんて。

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