恋する男達の密会3 ページ41
・(tn side)
『えっと、よく分からないのですが...。慣れている店員がいなくなるのが嫌ということでしょうか。...しかし、私にも私の事情がありまして... 』
ちゃう。そういう事じゃないんや。
テーブルの真ん中に置いたスマホから、中村さんの声が聞こえてくる。
平坦で無機質な声からは、彼女の気持ちを探ることが出来ない。
が、恐らく彼女は今大変混乱しているだろう。
何故って、そりゃあいきなりただの常連客から電話がかかってきてお見合いをやめろだなんて言われたら誰でも混乱するわ。ていうか怖いわ。
まず、一方的な片思い拗らせ中の俺らの目線で言っちゃダメなんじゃないのか。
「ちゃうねん、ちょ、ゾム!お前わかりにくいこと言うなや」
「え、なにがダメなん今の。だってこれが俺らの気持ちやん。」
慌てたロボロがゾムに詰め寄る。
少し怒ったような表情の彼とは真逆に、ゾムは普段通り、何も変わらない表情をしていた。
ここで俺も意見を言う。
「せやけど、よう考えてみ。俺らは中村さんのことす、好きやけど、中村さんは俺らのこと常連客としか思ってないんやで」
「お、トントンよう言った!その通りやで。」
「なんでお前は上から目線なんですかねぇ...」
「あ、せやったな...そりゃ、おかしいか。いきなりこんなこと言い出すのも。」
俺の言葉に口々に同意していくメンバー。
コネシマがやけに上から目線でうざったいが、メンバーに、彼女が遠くに行ってしまう焦燥感に駆られて忘れていたことを思い出させることが出来たようで良かった。
「え、じゃあ、電話かけたこと自体間違いだったんじゃ...」
「せやな...ちょっと急ぎすぎたな。」
この際、彼女に迷惑をかけたことを謝罪して一度切った方がいいのではないか。
このままだと話も進まないし、単に俺らが彼女の中でよくわからない人認定されるだけであろう。それどけは避けたい。まだ常連客と思われていた方がマシだ。
「あ、あの、中村さん...」
「A先輩!あの、いきなり意味わからない電話かけてすみません。その、やっぱり口で言うの恥ずかしいんでLINEで送ります!すみませんでした!」
俺がおずおずと話そうとしたところ、ショッピが横から割り込み被せ気味でそう言った。
彼の行動力に驚いたものの、心の中で拍手を送る。
その言葉を聞いた中村さんは電話を切り、室内には気まづい沈黙が訪れた。
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@Rino_emiは不人気でした。 - 完結おめでとう御座います!!星とコメつけました!!PKです!! (2019年4月3日 15時) (レス) id: f8b93f7332 (このIDを非表示/違反報告)
南野なつ子(プロフ) - ゆっくりみーさんさん» コメントありがとうございます!中村さん、可愛いですよね(自分で言う)彼女の人間性を捉えていただけているようで、とても嬉しいです...!短編集の方も、何卒宜しくお願い致します。応援ありがとうございました<(_ _)>! (2019年1月1日 2時) (レス) id: 2940700bbe (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりみーさん(プロフ) - 完結おめでとうございます!!中村ちゃんはほぼほぼ一目惚れみたいなかんじでした…なんだか素朴でツイてないけど、ナチュラルに、でも必死に頑張る中村ちゃんがとても好きです!!かわいい!かわいいです!!(二回言った) (2019年1月1日 1時) (レス) id: e42952b1a0 (このIDを非表示/違反報告)
南野なつ子(プロフ) - こむぎ@不透明じゃなくてもチームこーくさん» コメントありがとうございます<(_ _)>お二人共可愛すぎて、作中でどんな行動をとらせるか非常に迷います笑ご期待に添えるよう頑張って参りますのでどうぞよろしくお願い致します! (2018年12月26日 21時) (レス) id: 2940700bbe (このIDを非表示/違反報告)
こむぎ@不透明じゃなくてもチームこーく - ショッピロボロとか神の集まりですわぁ…((更新頑張ってください…! (2018年12月25日 15時) (レス) id: fce3d8ed6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:南野なつ子(ちりん) x他2人 | 作成日時:2018年7月3日 22時