いらっしゃいませこんにちは。【w.r.w.r.d.!】

今日も今日とて27 ページ27

いらっしゃませこんばんは〜









放送が流れる以外には何も聞こえない閑散とした店内で2人、恋バナ(？)を続ける。


顔を赤くして言うのを渋った菜々ちゃんを説得し、なんとか詳しい話を聞くまでに漕ぎ着けた。




どうやら、菜々ちゃんはコンビニの常連客に片想い中らしい。

常連客というと心当たりしかないがその辺は大丈夫だろうか。






「ここの常連さんかぁ…どんな人？特徴聞いたらわかるかも。」



「えっ？！え、えーと…いつも結構遅い時間に来てて…黒っぽい服を着てて、髪は綺麗な金髪で…
あ、あと目の色がめっさ綺麗なんです…」







え？え？ま、まて。金髪黒服？
私の頭の中に今の特徴が全て当てはまる人が1人いる…。


こ、これは…。
あまり切り込んだこと言わない方が身のためだな。
一緒に帰ってるなんて言ってしまった日には私たちの関係は崩れ去ることだろう。





「へ、へぇ！いたっけ、そんな人？」




「居るんですって！Aさんも絶対見たことある！」




どうやら先程の特徴を聞いて合点がいったようだ、ショッピくんも口元を覆いぷるぷると笑いを堪えている。

まあ、こんな特徴的な特徴当てはまる人ここら辺では1人しかいないよなぁ。



内心冷や汗をかいていると、店のドアが開きお客さまが2人ほど入ってきた。





「チッス」



「あ、いらっしゃませこんばんは。」





ゾムさんだ。
いつも被っている彼の象徴的なフードは今日は後ろに垂れており彼の顔がよく見えた。

そして彼の後から入店されたのは今一番できれば会いたくなかった人。



隣から息を呑む音が聞こえた。


彼女も私に続き裏返った声で挨拶をしたが、彼…グルッペンさんは軽く会釈してそそくさと行ってしまう。
彼が離れた後、菜々ちゃんは興奮したように私の肩を揺さぶった。




「あの人！です！！…じ、実は今日話しかけてみようかと思っとるんやけど…」



「え！が、頑張ってね？！」




鼻息荒く私に目標を述べた菜々ちゃんは早速やってきたグルッペンさんのレジ打ちに直行する。
私は遠巻きに観戦しようと思い、3レジの近くにいたショッピくんの隣にピタリと寄った。




「せ、せんぱ…」



「まーさかあの子の片思い相手がグルッペンさんだったなんて…ここは可愛い後輩を応援しなくちゃ。」



ショッピくんが何かを言いかけていたが気にせず、菜々ちゃん達の方を凝視する。

時々グルッペンさんがチラ見してきたのはなんか面白かった。

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