9 ページ10
「わぉ、今からディナーかい？」
ちゃかしてそう言うメローネに、スーツを着こんだAは肩を竦めて笑った
「いや、ディナーには少し早いかな」
「だろうね、さ、乗ってくれ」
エスコートするかのように扉を開けると、Aは慣れた様に車に乗り込んだ
それを見ると、メローネは扉を閉め、運転席に乗り込んだ
「君が運転を？」
「ああ、安心してくれ、チームじゃ一番に上手いんだ」
「そりゃあ安心だ」
「出発するぜ、シートベルトを」
ハンドルを握るメローネを横目に、Aはシートベルトをしめ、窓の外へ視線をやった
「なあ、50年前と比べて、イタリアはどうだ？」
発進して暫く。メローネの質問にAはふと視線をさ迷わせた
「五十年前と比べて？そうだな……平和になったかな」
「平和？……っははは！！ディモールトベネ！面白いなアンタ！」
隣にギャングの暗殺者が座っているというのに、あっさりとそう言ったAに、メローネは声を上げて笑った
「いや、本当にそうだ。みんな¨私はなーんにも関係ありません¨って顔をしてる」
「関係ないのが平和なのか？」
「ああ、余計なことに首を突っ込まなくてすむからね」
フッと微笑んだAに、メローネも納得したように笑みを浮かべた
「ああ、なるほど。確かにそりゃそうだな」
暫く会話もなく、車が止まったのは海に近い一軒の小さな石造りの家だった
「さ、着いたぜ。ここが¨上司¨の居場所だ」
「上司、ね」
「それじゃ俺はここで待ってるよ」
「……そうだな、出来るだけすぐ帰ってくるよ」
スーツの襟を正したAは、軽い足取りで木製のドアノブをひねった
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：東雲出雲 | 作成日時：2018年7月1日 15時
