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彼女の手に握られていたのは見覚えのあるバッヂだった。


リゾットの、労るような視線が鬱陶しくて、けれどこの感情をどこにぶつければ良いのかわからなくて、私はただ歯を食い縛り俯いていた


今朝生けたばかりのアネモネは、夕日に照らされ凛と咲いている。



「連絡を受けて、俺が駆けつけたが、」


プロシュートが気の毒そうに言葉を選んでいるのを感じた。
相変わらずさらりと手入れの行き届いた髪を撫でてみる

目元に手を添え、頬を撫でる。唇をなぞる。


「死んでた、か」

「……ああ」

「暗殺者は君達以外にも?」

「聞いたことはないな。だが、パッショーネはギャングだ」

「……そう、そうだな」


痕跡はない。
手を叩きたくなるほど見事なプロの仕事だ。

組織の人間がやったとして、報復すればそれは裏切り行為だ。

私は今、1人ではない。


彼女から離れて、窓枠を見下ろす



「A、」

「報復するつもりはない」


優しい夕日が彼女の髪を美しく照らした。
いやに落ち着いた私に、プロシュートもリゾットも哀れむような視線を向ける


私は彼女の手からバッヂを抜き取り、スーツのポケットに突っ込んだ


彼女の葬儀には出られない。
墓に参ることもきっと赦されないだろう。

アネモネの花を一輪抜き取り、花弁に口付け、彼女の胸元に添えた









「さようなら。エルルーシャ・バルザレッティ」









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設定タグ:ジョジョ , 5部 , 暗殺チーム   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2018年7月1日 15時

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