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様々な機械に繋がれ延命されている姿に私は口をつぐんだ
「起きるのは一日に二時間ほど。後は疲れて眠ってしまう」
しわくちゃになった頬を撫でる
規則的な機械音だけが彼女の生を裏付けていると言うのだから信じられない。
「エリー……遅くなって、ごめん」
誕生日を祝うと約束していた。
ピアノで歌えるようになったから聞かせてあげる。と、私には些か眩しすぎる笑顔でそう言っていた。
「────またせすぎよ、……A」
そっと、私の手を暖かさが包んだ
「エリー……？」
しゃがれた声が、懐かしい笑い方をした
「こんなに、おばあちゃんに、なっちゃったじゃない、」
「エ、リー」
「おかえりなさい、A」
貴女を、待ってたのよ、ずっと。
そう言って、彼女が笑みを浮かべた。
暖かい涙を流しながら、それでも懐かしいあの笑みを浮かべた。
「エリー、……ただいま……お待たせ、っ、ごめん、」
力の弱まった彼女の暖かい手を両手でそっと握った
「もう……泣いてるの？……あなたは本当に泣き虫ね」
彼女の指が私の頬をなぞり水滴をぬぐった
「A……」
柔らかい笑みを浮かべた彼女が、うとうとと何度か眠たそうに瞬きをした
「エリー、疲れただろ、眠った方がいい」
「……いやよ、貴方、すぐにどこかに行ってしまうんだもの」
むすっとした彼女に、私は彼女の髪をすくように手を動かした。
相変わらず美しい髪だ。
「次は待たせないと約束するよ。……明日の同じ時間、ほら、君の好きだったあの花……」
「アネモネ…？」
「そう、アネモネを買ってくるよ。約束する」
「……ふふ、期待しないで待ってるわ……」
そう言ったエリーはゆっくりと目を閉じた
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作者名：東雲出雲 | 作成日時：2018年7月1日 15時
