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「このご時世に紙のデータかよ」
Aの手から抜き取ったファイルを開いたギアッチョが顔をしかめた
「ディジタルってのは性に合わなくてね。目が疲れてしかたがない」
「うぅ、こっちの方が目がチカチカする……」
ペッシの言葉に、Aは「…まぁ、人それぞれだ」と告げると、ゆるりと手を広げて話を始めた
「知り合いに色々聞いてみた」
「知り合いに？あんたの知り合いが生きてるのか」
「ああ、いいや？¨現代の¨知り合いにね。ま、昔も今も友達の作り方は変わらなくて安心したよ」
「……なんだかいろんな意味で予想を裏切られてるよ」
「悪いね。ま、伝説なんてこんなもんさ。で、彼によると─────」
まとめられた話は至極単純なものだった。
組織内のゴロツキが、¨上司¨を殺した。
その直後、メローネとAが上司の元へやって来た。証拠の隠滅も済まぬ内に、だ。
「つまり、目撃者を消したかっただけらしいね」
そしてすでに調べあげられているのは、ゴロツキ自身、そして取り巻きと、その家族。
顔や名前は勿論、住所、年齢、電話番号、生年月日、手術歴、趣味、特技、虫歯の数、車のナンバー、愛人の数、好きになった女、好きな酒、好むタバコの銘柄、通ったスクール、よく通る道、口癖、歯を矯正したか、履いている靴のブランド、明るみに出てない犯罪歴、カードの暗証番号、口座番号、預金額─────
おおよそ、普通の人間が調べたとは思えないほど詳細なデータに、全員が絶句した
「って訳で、私の¨テスト¨だけど」
合格で良いかな？と言ったAが、ニュースの流れるテレビを指差して不敵な笑みを浮かべた
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作者名：東雲出雲 | 作成日時：2018年7月1日 15時
