検索窓
今日:17 hit、昨日:54 hit、合計:668,592 hit

ページ49






上に戻って来ても未だに眠気は襲って来なかった


だから絵を描こうと思ってキャンパスを用意し、

今度こそ色が塗れるから絵の具と筆も持ってくる



水彩画なんて去年ぶりだ





「…おい」





パレットの上で色を作っていたときだった

少し呆れたような、それでいて何処か強めの声が私を制止させた。


その声の主である先生は腕を組んで仁王立ちをしていた





「なに今から始めようとしてんの?」



『、時間があるからです…』



「いや、寝ろよ。薬飲んだんだから」



『…あれはビタミン剤ですよ。

それに眠気が来たら直ぐ終わりにするので…』



「だとしても、ただでさえ昨日寝れてないんだからしっかり睡眠を取れ。

じゃないと体調崩すぞ…」



『大丈夫です。いつもこんな感じなので』



「……」





そう告げて、極力先生の目を見ないようにしながら色作りを再開する


何で先生の目を極力見ないようにしたのかは自分でも分からない



色が出来たから適当な場所に試し塗りをしてから、下描きが終わってるキャンパスにその色を塗る


すると、おもむろに深い溜め息が耳に入って来た


その溜め息の理由は多分だけど分かるから聞こえなかったフリをして筆を動かす。



そしたら今度は足音が近付いて来て

私が座っている椅子の斜め後ろでピタッと止まった



あ、この位置…





「…よくそんなところからその色で塗れるなぁ、

俺には到底できない」




その後に、やっぱり好きだな。と呟いた先生は案の定、絵を見ていた。


この斜め後ろの立ち位置は

授業でも部活でも、先生が絵を見るときの立ち位置だった。


アドバイスがあるときはそのまま伝えるか、手を掴んで一緒に描くかのスタイルだ





『…全然、そんな大したものじゃないです。

出来た色から塗ってるだけなので』



「そこが凄いんだよ。

それに、少なからず俺は、お前の絵が好きなんだからそれで良いだろ」





さっき盛大な溜め息を吐いていた人間とは思えないほど柔らかく、優しい声をしていた





『、怒ってないんですか…』



「怒る?


…あぁ、あれは呆れてただけだよ。

それと同時に無理強いは良くないかと思って、勝手に区切りを付けてただけ。

別に怒ってない」



『そう、でしたか』



「ただ、お前が体調崩さないか心配なのは事実だ」



『…大丈夫ですよ』





絶対とは言えないけど


それを口にする気も無かった








・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (197 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
917人がお気に入り
設定タグ:3年A組 , 柊一颯 , 菅田将暉
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - ごめんなさい、不謹慎だけど主人公冷静にツッコミしすぎて笑ってしまった笑 (2022年4月12日 0時) (レス) @page32 id: 4806b1b4dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - 苗字で呼ばれるなら変換できるようにしてほしい!自分渡瀬じゃないんで! (2019年3月31日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もちもち | 作成日時:2019年3月17日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。