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No.50*龍神邪炎 ページ20

葵side


「でっ、でも!うちがそこに行くなんて分かるわけ!

まっ、まさか……!!」

ホシは戸惑いながらも私達の作戦を理解してきているようで、

そろそろ種明かしの時間かな思い、前に出ようとしたが、それより先に治が前に出た

「これは一か八かの賭けだったんだよ

葵が君の相手をしながらも、この結界の中へ君をおびき寄せる

そして、君が入ってきた瞬間に私が異能力を発動」

「まぁ、これで無効化できなかった場合は、お前が怒って異能力が暴走し、皆がその光でこの世からおさらばしてただろうな」


私達の言葉を聞いて呆然とするホシ

そりゃそうだ

自分は私達を殺す為に必死だったのに、その間に利用されちゃってたんだもの


「………こんな役立たずなら、生きてる意味ないやん」

ふと聞こえたその小さな声

まさかと思ったが、次の瞬間、銃声が響き渡った



「なっ、……なん、で」

だが、そこには、静かに涙を流すホシと拳銃を構えた治、そして、サバイバルナイフが転がっていた

「何を勝手に死のうとしてるんだい?」

そう聞いた治の目は、黒の時代(あの時)と同じ目をしていて、

背筋が凍る感覚を覚えた


「“役立たずだから”?

そんなくだらない理由で死のうとするなんて馬鹿にも程がある」

「役立たずは生きてはいけないなんて誰が決めた?」

「役立たずは生きる意味がないと誰が決めた?」

そう言いながらホシを見下ろす治は、いつもとは違ってて、

【太宰治】という人間の闇を見た気がした


「始めて華恋と会った時、私は入水の帰りだった

水だらけの私を、彼女はとても心配してくれて

どこか幸福感を覚えた

どうしてそんな格好なのか聞かれて、正直に話した時、

彼女は酷く悲しげな顔を見せた


さすがの私でも吃驚したよ

こんな見ず知らずの私を心から心配してくれるなんて、相当馬鹿なんだって

でもね?それをそのまま話したら、彼女はこう言ったんだ

『確かに私は貴方の事を知らないよ?

でも、私には、貴方がどこか哀しそうで、どこか苦しそうに見えた

貴方が死のうとする理由なんて分からないけど、

誰かに相談してみたらどうかな?

我慢する必要はないでしょ?

すっごい在り来りなことなんだけど、私は生きちゃいけない人間は居ないと思うんだ

誰もが生きる意味を持って生まれてきて、

人生っていうのはその意味を探す大きな旅なんだって

私はそう思う

_______なぁんて、見ず知らずの人に言われちゃ困るか』」

No.51*龍神邪炎→←No.49*龍神邪炎



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作者名:龍神邪炎&チョコレート x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年12月19日 14時

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