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phrase115 ページ17





 再度、足を進めようとした泉をとめる。



「......何」


「......変わったわね、『Knights』も」



 静かに、口に出したことば。


 部屋のなかにいる、真と真緒には聞こえていない音量で。



「はぁ?」



 彼の眼光が鋭く、美羽を捕らえる。



「『knights』が変わったから、私も変わった。......ただ、それだけよ」


「『knights』が変わった? 寝言は寝てから言いなよねぇ。

 『Knights』は、何ひとつ変わってない」


「なら、私も何ひとつ変わってないわ。......【あのひと】も、何も変わってなんかいない」



 真っ直ぐに、泉を見つめる。


 ふたりの視線が、かち合った。



「あんたと【あいつ】は変わった。それは、誰がみてもわかること。

 でも、『Knights』は違う。何も、変わってない」



 泉は言う。



「変わったわ」



 美羽も、言い返す。



「『Knights』も、あなたも、私も......【あのひと】も」



 ずっと同じでなんて、いられるはずがないもの____



「何が言いたいの」



 泉が問(と)う。



「......まだ、夢見てる?」



 泉の瞳をじっと見つめたまま、美羽は逆に問うてきた。


 自分の質問を無視した彼女に、泉は苛立(いらだ)ちはしたものの、彼女の質問に答える。



「何言ってんの、そんなわけないじゃん」



 美羽の瞳から、視線を背(そむ)ける泉。



「俺の夢はもう、とっくの昔に覚めてるよ」



 悲しげに、憎らしげに、吐き捨てる。



「もう一度、見たくないの?」



 美羽は、目を伏せる彼に聞く。











「【あいつ】はもう壊れた。たとえ、【あいつ】が帰ってきたとしても......

 俺の夢は、もう二度と始まらない」


「【あのひと】は壊れてなんかない。夢だって、まだわからないわ」



 彼女は言う。



「わかりきってることだよ、昔から。

 ......【あいつ】は、その程度の奴だった。ただ、それだけなんだ」



 何もかも諦めたような、苦痛な表情。



「その程度の奴だった......? 本当にでそう思っているの?」



 泉は、肯定するように、なにも言わなかった。



「本当にそう思っているなら、ちゃんと言いなさいよ。

 私の目を見て、ちゃんと言ってよ......____【泉】っ」



 大きな声を出してはいない。


 けれども、凛とした彼女の声は廊下に木霊(こだま)す。


 先程までの会話が聞こえていない真と真緒は、何事かとその顔に焦りをみせる。



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作者名:白銀桜夢 | 作成日時:2018年8月9日 18時

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