思い馳せる姫君 (ページ9)

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「あくまでもアイドルとしてのパフォーマンスで競うんだが...殴り合いもOKなルールらしい」

　真の言葉に疑問をもったスバルが問いかけると、北斗は普通に肯定した。。

　すると、ステージの上からマイクを持った男子が話し出した。

『さあ！みなさんお待ちかね。【龍王戦(ﾘｭｳｵｳｾﾝ)】の開幕ッス～！あ、申し遅れたッス。自分は【第32回ドリフェスＢ1(ﾋﾞｰﾜﾝ)龍王戦】の実況を任された空手部１年、南雲(ﾅｸﾞﾓ)鉄虎(ﾃﾄﾗ)ッス！押忍(ｵｽ)！』

　元気いっぱいで観客に向かって言う黒髪にところどころ赤色のメッシュが入っている髪、オレンジ色の瞳をした、南雲鉄虎。

　夢ノ咲学院アイドル科１年A組、部活動は空手部、そして所属するユニットは流星隊(ﾘｭｳｾｲﾀｲ)である。

『みなさん、準備はOKッスね？それではっ、挑戦者入～～場～～！』

　ステージに上がってきたのは、気高く滅びゆく灰色狼の髪に輝きを嫌うように少しくすんだ月光色の瞳をもつ少年。

『身長174センチ、体重58キロ！軽音部の噛みつき魔！夢ノ咲学院アイドル科2年Ｂ組、【狂犬】大神(ｵｵｶﾞﾐ)晃牙(ｺｳｶﾞ)～～！』

　ほとんど鉄虎が紹介してくれたが、大神晃牙...夢ノ咲学院アイドル科2年B組、部活動は軽音部、そして所属ユニットUNDED(ｱﾝﾃﾞｯﾄﾞ)である。

「いいねいいね！ワクワクするっ☆」

「【Ｂ1】は関わっても生徒会とか教師とかに睨まれるだけなのにね」

　左腕を振り上げ、頬を紅潮させるスバルと違い、真は眉を下げて晃牙を見る。

「さすが軽音部！無法者(ﾑﾎｳﾓﾉ)すぎる！がんばれ～ガミさん☆」

『気安くあだ名で呼びかけてんじゃね～よ。俺様は孤高(ｺｺｳ)の一匹狼なんだよ...！』

ガミさん、というのはスバルがつけた晃牙のあだ名らしい。

　耳聡(ﾐﾐｻﾞﾄ)くスバルの声を聞き咎めて、牙を剥いて周囲に威嚇する。

『学院の規則も軽音部とかの立場も関係ねぇ！俺様が一番ってことは決まってんだよ！』

　ギュイィインッと愛おしそうに大事そうに抱えていたギターを弾き鳴らし始める。