思い馳せる姫君 (ページ19)

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「だが、俺たちが胸に宿した夢は...心はどうなるんですか？家畜の餌になるだけだ____俺たちは、踏みにじられ、豚の餌になる雑草だ！そして、誰もそれに疑問を抱かない！」

　北斗は自分の拳を強く握りしめた。

　当て所のない義憤が、絶望が、彼自信を...彼ら自信を傷つけている。

「いいえ、逆らっても抵抗しても、先ほどのドリフェスのように捻り潰されるだけよ。それも、【真緒くん】が言ったような状況だから」

(俺の名前を、どうして......！？)

　自己紹介もしていないのに、自分の名前を出されたことに驚く真緒。

　しかし、それに構っているに暇はない。

「勝つべきものが勝つ。舞台の幕が開く前に投票数は決まっていて、『学院に都合のいいアイドル』の勝利のために、すべてがお膳立てされているの。

　現在のドリフェスでは、圧倒的な権力をもつ生徒会の個人、またその所属する『ユニット』しか勝利、優勝できないわ」

　みんな、一生懸命頑張っているのに。

　夢を追い求め、羽ばたくために。

　誰かを、笑顔にするために。

「誰も、この学院の権力構造の頂点である生徒会には逆らえないのよ。彼らに票をいれる、従順な下僕としてしか、存在は許されないわ

　生徒会に逆らえば、歯向かえば、この学院では生きていけないのよ」

　彼女は、少し顔を俯かせて言った。

　まるで、彼女自身が体験したかのような、語り口で。

「俺は...俺たちは、そんな夢ノ咲学院の現状を打破し、変えたいと思っています。まだ、何ができるかはわかりませんが...」

　貫禄のある声色で、彼は告げた。

　彼らは...この学院の生徒は、機械ではない、人間なのだ。

　人間だから、泣く。

　悔しくて、嫌で、怒りと哀しみで、絶望で、涙を流す。

　そう________

　みんなに笑顔を、幸せを届けてくれるアイドルたちが、いったい今までどれほどの涙を流してきたのだろうか。

　涙の海に溺れ、喘いで、誰かに助けてほしくで____とてつもなく、追い詰められていたのだ。