BE ALIVE 〜強く、生きる〜 その弐

episode86 ページ42

知念side




涼「…っ…！！

うぅ…あぁ…くそっ…！」



知「え？ちょ…涼介！？」



高「まさか…偏頭痛か！？」



慧「確か…偏頭痛は、緊張から解放されて安心した時に起こりやすいって…！」



圭「そ…そんなぁ！！

一体どうすれば…！？」



光「…山田。

お前はよく、頑張った。

ちょっと手荒な真似するけど許してくれよ？」




少しの間宏太と真剣に話してたひかが、涼介にそう語りかける。



涼介は苦しそうな表情のまま、かすかに頷いた。




ガンッ…




全「…え！？」




それを確認したひかは、あろうことか涼介の首の後ろを思いっきりチョップした。




知「ちょ…何やってんの？


…何やってんだよっ！！」



訳がわからなくて、僕はひかに掴みかかった。



宏「よせ！！」




だけど、宏太にあっけなく止められる。




宏「あのままじゃ、苦しいだろ？

…この場合、意識を失った方が楽なんだ。」




そう話す宏太の表情も、実行したひかの表情も暗くて、まさに苦渋の選択といった感じだった。




知「…掴みかかったりして、ごめん。」



光「いや、知念は悪くないよ。

もし逆の立場だったら、俺も知念に掴みかかってた。」




…少し空気が重くなった。



気を利かせたのか、宏太が話題を変える。




宏「…さっ、病院行くか。

特に山田と大ちゃんは、医者に診てもらった方がいい。」



圭「じゃあ俺、山ちゃん背負ってく！」



宏「サンキュー。だけど、気をつけろよ？


俺は大ちゃん背負うから。

光は慧お願いできるか？」



光「もちろん！」



裕「ちぃは、俺がおぶってくからね？」



知「え？僕、大丈夫だよ！」



裕「だーめ！これ以上悪化しないようにしないと！」



高「んじゃ、俺は先に病院行って状況説明してくるわ。」



宏「おう！頼んだ！」






みんな、自分の事より他人を心配してて。


自分だってケガしてて辛いはずなのに、平気そうな顔してて。






『本当の強さ』



って、こういうことを言うのかな。





ふと、そう思った。

episode87→←episode85

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す