4Fr�� ページ27
「あれ？ハルどこ行くの？」
洗い物を終えたハルを真琴が呼び止める。
「風呂入ってくる」
「風呂……」
真琴は別段驚く様子はないが、仮にも客人が来ているのに風呂に入るというそのマイペースぶりに、私は若干頬が引きつる。
スタスタと歩いていくハルを気にすることなく、真琴は話を続ける。
「そういえば、凛は鮫柄の水泳部に入ったから、次の大会でまた一緒に泳げるって、渚がはしゃいでるんだよね」
真琴が楽しげな声で言った。その声色から、真琴も凛と泳げることを楽しみにしていることが分かる。
………きっと、ハルも。
ハルにとって、凛は特別な存在だった。
水を感じられればいい。ハルの泳ぐ理由はそれだけだった。水の中にいることが、ハルにとって自然なこと。小さい頃からそんな感じだったし、私も真琴も、それが当たり前だと思っていた。
だが、そんなハルを熱くさせるのは凛だった。小学校の頃、何度か大会で顔を合わせては、競い合うようにして泳ぎ、同じSCになってからも、お互いを意識し合い、最後はリレーを泳いだ仲間となった。私は、そんなふたりをずっと近くで見ていた。
2人は、互いを高め合う関係、ライバルなのだ。
ライバル、か……。
その単語に、在りし日の記憶が蘇りそうになる。しかし、目を閉じることで無理やりそれをシャットアウトした。
「でも、俺たち久しぶりの大会だから、気合い入れていかないと…」
しばらく話を聞いていた私は、真琴のその一言が引っかかった。
「久しぶりって……。水泳、続けてたんじゃないの？」
私の疑問に、真琴はハッとしたような表情を浮かべた後、視線を落とした。
「実は……」
真琴から告げられた事実は、私にとって衝撃的なものだった。
──ハルが、水泳をやめていたなんて……
ずっと、泳ぎ続けているとばかり思っていた。確かに、今考えてみると不可解な点がある。なぜ、岩鳶高校に入学した時に水泳部を作らなかったのか。競泳をやめたから、部を作らなかった。そういうことなのだろう。
何も知らないんだな、私は。
昔は、ハルと真琴の事なら何でも知っていたのに。4年という空白の中で、それぞれの時間を刻んでいった……ということか。
「俺たちが水泳から離れたのは、中学一年の冬」
それまで、ポツポツとどこに向けてでもなく事実のみを話していた真琴が、私の方を向いた。
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ミノ(プロフ) - ちょこれーとさん» 嬉しいコメントをありがとうございます！とっても励みになります！私も遙が好きなんです！これからも気長にお付き合いいただければと思います^^* (2021年6月19日 22時) (
レス) id: 39ed912905 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - この小説めっちゃ好きです！Free！の映画も楽しみですね。笑 ちなみに、私はハルちゃんと郁弥推しです！これからも作者様のペースで頑張ってください！応援してます(*'▽') (2021年6月19日 22時) (レス) id: 64be1a2e2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミノ | 作成日時：2021年5月17日 21時
