58話※ ページ8
「…」
次の休憩まで30分
頭では分かっているのに先程から
体がむず痒く重たい。頭の質量をささえるのも
しんどくなってきた。…熱中症か
しかし耐えなければ…1000円なくなるの
ほんと勘弁だし
揺れた視界の中でなんとかトントン先生の
話を聞く。ダウンした生徒はすぐに
日陰で休んでいい、との連絡だった
…まだ、耐えれる
てか、ここで倒れたら不良のイメージ崩れる…
───
ci「Aさん、おらんかな…」
syp「…」
こないだのカツアゲからチーノは
何としてもお近付きになりたいらしく
日々Aさんを目で探している。
不良やから屋上や校舎裏におると思ってたが
1番よく見かけるのは教室で寝てる姿
…その姿も額縁に飾りたいほど美しかった
ただ、今のチーノに言ったら
先に狙ってたの俺やぞ!とキレられ
喧嘩のカウントダウンが始まる
ま、奪うのは俺なんですけど
ci「あの人とLI〇E交換したいねん」
ci「不良やけど、優しいし」
ci「こないだのお礼したいし」
syp「あれ、金欠ちゃうかったっけ」
ci「バイト始めた」
syp「おぉ…」
こいつマジモンやな…
俺もバイト増やそ
───
30分後
「…」
鼓膜に何十もの膜が貼られている
遠くの方から笛に似たナニカが
なっている気がする
身体中からぬるい水滴がしたたって
体操服について気持ち悪い。…洗濯
だるいだろうなきっと
さっきまでぎゅうぎゅう詰めにあつまっていた
クラスメートが一気にどこかに行く。
どこに行くかは、わからない。鬱も
そっちに歩いていったからとりあえず
ついていかないと
あしがおもたい
…熱中症、か、
頭で理解した頃には、もう遅くて
視界がグルグルと周り出していた。
去年も暑さを経験したのに、なんで
今、こんなにキツイんだろ
『俺の胸においで』
「…」
鬱がそう言っていた気がする。
彼は目の前にいる。でも、頼るなんて
そんな申し訳ないことしたくない
グルグルと思考も回しているうちに
本格的な気分の悪さが俺の胸を
襲った。食べ物もないのに胃酸がでてこよう
とする。
このままやと、ほんまあかんかも
気づけば、俺はいつの間にか
遠くにいっていた鬱を無我夢中で
追って
背中を掴んだ。
「うつ」
「お願い、あとでなんでもするか…ら」
「むねかして…」
記憶はそこからない
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作者名:あちき | 作者ホームページ:http://33550619
作成日時:2024年3月28日 22時