イケメンに囲まれてます！ (ページ25)

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第22話華のイケメン前編ページ25

八月下旬。私は早々に課題を終わらせて、だらだらと平凡な日常を過ごしていた。

「もう夏休みも終わりかー……」
第高校一年生の夏。合宿をして、両親が口煩く言う青春というものは、まあまあこなせたとは思う。けれど、
「なんだかなぁ……」
端的に言えば、まだ夏休みが終わってほしくないのだ。何か、何かもうちょっと無いものだろうか。

ペンッ！
「あ、Dotだ」
今流行りのSNSだ。ほぼリアルタイムでチャットが出来たり、スタンプが送れたりするところが若者の需要を満たしているようだ。

「メイちゃんから…？」
ここ数日、メイちゃんはバイクの免許を取るために合宿をしていたらしいので、なかなかDotのやりとりもできていなかった。

『もし都合が合ったらでいいんだけど』

数秒たってからまたペンッ！と通知音が鳴る。

『夏祭り一緒に行かない？』

こ……

「これだーーーーッッ！！！」
______

「ネコードギア、どっちが良いかな？」
私は右手にレースが付いた丈の短い着物と、左手に黒をベースにして菊の花を散りばめた着物を飼い猫に見せた。
「にゃぁ～～ん」
私は友達第一号にして親友の、メイちゃんと夏祭りに行くことになった。これぞ夏！これぞ夏休みのイベント！！引っ越して始めて行く地域のお祭りだけあって、私は相当浮かれていた。
「あぁっ、そっちじゃないよー」
飼い猫は私をすり抜けて、奥にかかっていた白い生地に金魚が描かれている着物の前でニャンニャン鳴き始めた。
「……それ？」
そういえば視界の端には止まっていたが、何故か見落としていた。うん、確かにこれが良いかもしれない。
「ありがと、ネコードギア」
______
時刻は17時30分。空は夕焼けに染まり始めて、待ち合わせのカゥッコイーニェ公園には子供たちがポツポツと帰り始めた様子が見られた。
「緊張してきた……」
気合いが入ってつい着物などというものを着てきてしまったが、合っていただろうか。いや、今から脱いでしまっても……

オウゥオオンブォンブォンブブブブブブブピピーーッ！！キキッピギャッ！ブルォンオン！
イイイヤアアアアアアアアアアアアア！！！！！

「悲鳴！？」
慌てて振り返ったのも束の間、物凄い光が目に差し込んできた。

「ごめん！！待たせた！？」

眩んだ目を瞬かせながら何とかその光源に跨る人物を視界に捉えた。

「メイちゃん！？！」
そう、猛烈な光を放つ鉄に跨っていたのは、荘厳な棘が生えたヘルメットを被った春人メイちゃんだった。