43話 ページ44
私の体は勝手に動いていた。
國木社長の目の前まで飛んだかと思えば、知らぬ間に掌から出していた剣を握りしめて振りかぶっている。
『アンタなんかが親で可哀想』
「ひぃっ……！」
抑えろ…ｯ
抑えるのよ……怒りを…ｯ！
ｷｰｰﾝｯ！
「……何やっとんだアホ。」
『へ、ばくご…うくん…？！』
私の剣は綺麗な音を立てて、爆豪くんの籠手にぶつかっていた。
ｷﾞﾘｷﾞﾘｯ…と籠手に力強く食い込もうとしている刃に、私は慌てて後ろに飛び退く。
『ご、ごめん！！
いや…助かった………』
…爆豪くんが現れてくれなきゃ、私は絶対にあのジジイを切っていた。
ヒーローが私情を持ち込むことはあってはならない。
わかってるのに……ｯ
「お、おお…おおっ！
こ、これでこそ私の選んだ男だ！！
よくぞ守ってくれた！！！」
「……。」
爆豪くんは私を冷たい視線で一瞥すると、尻餅をついて冷や汗を垂れ流しているジジイの方に向かって歩く。
ねぇ…どうしてなの……
君は、本当にそれで………ｯ
「まったくいいところに来てくれた！
君を解放しろとうるさいあの女に殺されるところだったよ！」
「…それは危ねぇところだったっすね。」
「よいしょと…
ところで、君は今日は何しに来たのかな？
レイカなら数時間前に出かけてまだ帰っていないぞ？」
アイツの手を引き、立たせた爆豪くんの顔は後ろからは見えない。
爆豪くん、私にはやっぱりどうしても、理解はできても納得ができない。
だって、君は……どれだけ周りを巻き込んでも、夢を諦めたりなんかしなかった…
こんな汚いやつの手を取るなんてあり得ない人じゃないか…ｯ
「A」
え、
いつぶり、の……名前、呼び……
「頼みがある。」
『……なに？』
「……。
俺の前から消えてくんねェか？」
振り返ったその時の表情は
あまりにも切なくなる笑顔で
天を分厚くて暗い雨雲が覆っていくように
私は絶望に落とされたような気になった。
.
『……ねぇ、知ってた？
火って濡れたら消えるんだよ。』
ｻﾞｰｰｯ…
「へぇ、そうなんだ。
それより早く帰んねぇ？」
『あのね…火、消えちゃったんだぁ。
私の中の火…消されちゃったぁ……』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 699人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃっぱ(プロフ) - アキネコ。さん» 気づいてしまったようですな…(ﾆﾔﾆﾔ)相性良さそうな2人なのになーんで別れちゃうかね🥲(お前のせいやないかい) (2022年11月6日 23時) (
レス) id: e4dea0e6c8 (このIDを非表示/違反報告)
アキネコ。(プロフ) - ちゃっぱさん» うぉぉぉぉぉ。やっと好きってわかったのね。お母さん嬉しい(((え、このあとの展開ちょー気になる…。楽しみに待ってます!!!! (2022年11月5日 11時) (レス) @page50 id: 1ef8943118 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - ぴょんきちまるさん» きっと、かっちゃんにとったら運命なんでしょうね……ほら…3次元にいる我々も、運命の相手には何か感じるものがあるそうじゃないですか…ビビッとくるというか、なぜか目が離せないとか…理由がわからないけど！みたいな。……まあ私には無縁の話ですけど() (2022年11月5日 2時) (レス) id: e4dea0e6c8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - アキネコ。さん» 今まで他人のことろくに眼中に入れてきてないでしょうから、あのプライドの塊の男は。きっと女の子を好きになるという感覚がわかんないんですよねぇ…ムフフ♡どんなかつきも好きだぁ♡() (2022年11月5日 2時) (レス) id: e4dea0e6c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょんきちまる - …これは、運命の赤い糸ってやつなのか？！そーなのか？！波乱の予感がするわ…（？？🫠） (2022年11月3日 23時) (レス) id: 94182d8a2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃっぱ195
| 作成日時：2022年9月19日 2時
