第19話 ページ19
「…あー。結構ヤバイね。
あの子を逃がしたらせっかくの能力者が…ね。」
カノさんは頭を掻きながら私に問いかけた。
『……。』
「…Aちゃん?」
『…私には…どうしたらいいのかわからない…。
私はヒヨリのことが心配だけど…でも、ヒビヤがヒヨリばかりになるのも嫌で…。
最低だよ…。こんなときにまで、自分の気持ちも整理できない…。能力なんて…持ってても、なんの役にもたたないじゃん!!』
私はボロボロと涙を流し、そのまま地べたに座り込む。
『…うぇ…っ…ふっ…。』
私の嗚咽だけが部屋に木霊した。
「…。」
カノさんが、少ししてから私を抱きしめた。
「…大丈夫。そう思うのも、また本能だよ。
人間の気持ちは、自分でさえも逆らえないからね。
……能力も…。」
微かに、カノさんの抱きしめる力が強くなった。
『…っ…。』
私はカノさんをぎゅぅっとだきしめかえした。
「…ほら!泣き止んで!!
とりあえず、ヒビヤくんを探しにいかないとね。」
カノさんが私の背中をぽんと叩くと、体を離して私に笑いかけた。
『…は…いっ……。』
「君はとりあえずこの街のはしのほうまで探してくれるかな?
あんまり遠くへはいってないはずだからね。
僕たちは病院周辺を探そうか。」
『…はい。』
「…分かった。」
そういうとコノハさんは窓からもうスピードで出ていった。
『…あの、この病院付近を探すよりも…。』
「ん?あぁ、分かってるよ。」
私たちはそのある場所に向かった。
『…ヒビヤ…。』
「…なんで…。」
そこは、ヒビヤが倒れていた交差点。
事故現場とされる場所。
「…ここなら、一番に来るだろうなと思って。」
カノさんがヘラヘラと言う。
「…ヒヨリは…ヒヨリはどこなの?」
ヒビヤがフラフラと歩いてくる。
すると、とっとつまずいた。
カノさんは即座にキャッチする。
「ほらほら、これでも怪我人なんだからね?
もっと安静にしてなきゃ。」
「…だまれ…僕は…ヒヨリを探すまで…絶対に帰らな……いから…。」
ヒビヤは震える手で立とうとした。
『…。』
「…はっきりと言うと、君の言うヒヨリって言う子は、もうこの世にはいない。」
「…っ!!」
ヒビヤがばっと起き上がった。
『…カノさっ…!』
さすがにそれは言い過ぎだと思った瞬間、その言葉はすぐに途切れた。
「…なにいってんだよ!!
おじさんに何がわかんの!?
こんな経験…したことないくせにっ!!」
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ヒビヤが好きで何が悪い - タピさん» 更新頑張れ (2016年9月9日 18時) (レス) id: 123834f551 (このIDを非表示/違反報告)
タピ(プロフ) - 聖奈〜有希乃さん» すみませーん!更新しますね(><) (2016年8月2日 1時) (レス) id: 8574ab753f (このIDを非表示/違反報告)
聖奈〜有希乃(プロフ) - うぅ〜続き気になるねん!はよ更新おくれ〜(・o・)ノ (2016年7月1日 7時) (携帯から) (レス) id: f825b50579 (このIDを非表示/違反報告)
タピ(プロフ) - Kiss☆さん» ありがとうございます!最近更新できてなくてごめんなさい……(TT) (2016年2月24日 20時) (レス) id: 7ba4f2e8a7 (このIDを非表示/違反報告)
Kiss☆ - 頑張ってください!応援してます( *´艸`) (2016年2月24日 18時) (レス) id: f6fb928f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タピ | 作成日時:2016年1月17日 13時