白依存症【五条悟】

#5 ページ6

もちろん履く靴はない。裸足でぺたぺたと走る白いワンピースの黒髪の女を見て、目を見張り、振り返り、幽霊だと怯えるやつもいた。

でも私は今気分がいい。どこまでも走って往ける気がするのだ。この痛いほど突き刺さる陽の光も、私を包み込む風も、全てが私を受け入れてくれているような気さえする。

まず何処に行こうか。ああ、そうだな。まずは硝子に会いたいな。それから七海にも、それから…。
…まずいな、１ヶ月外に出ていないだけで何故だか餓鬼のようにはしゃいでしまっている。こんな姿五条に見られたら玩具にされるに違いない。

というか、開始5ページでこのテンションでは、読んでくれている人達にこのキャラが定着してしまう。本来クール系だから。

だが何処へ行くにも金がない事に気が着いた。そもそも金目のものは全て五条が買ってくれるため金が必要なかったんだった。あいつ給料多いんだよな。

まあ、適当に歩く事にしよう。後のことは後で考えればいい。

と、歩くこと数時間。

ショーウィンドウに並ぶ洋服や、カレーの良い匂いに釣られ、随分人通りの多い場所に来てしまった。

つうか、何処だよ、ココ。

28歳にもなって、迷子とか有り得ねえぞ。

どうやってここまで来たのか覚えてない。足が棒のように動かない。そもそも靴を履いていないので足の裏がくっそ痛い。

ぎゅるる、と腹が鳴る。あー、腹減った。朝からなんも食ってない。

金がなきゃ、満足に飯すら食えない。結局私は五条がいなけりゃ何も出来ないのかもしれない。

「ねー、そこのお姉さん」

そんな私に、男の声がかかった。

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