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◆◇◆
「さてと、ヴィラン、お互い早めに決着つけたいね」
声が聞こえる。オールマイトの声だ。
Aは誰かに抱かれて水に浮いている。
かろうじて薄目に見えたのは男の子の身体と、その向こうで対峙するオールマイトに子供と死柄木と黒霧。
聴覚、視覚が働き出したことで脳が回り出す。
真っ先に脳裏に浮かんだのは、己を見限った死柄木の温度のない目と鋭利な言葉たちだった。
ふわり、ふわり。
周囲の光を手のひらに集める。
脳無の拳で受けた損傷は水に浸かっていない胸部は問題なく戻っているが、腹部は在るべきものがそこで潰れているような違和感が続いている。
しかしその程度の不快感、無視してしまえばいいだけなのだ、然したる問題ではない。
それに、今はそんなことにかまけている暇などないと焦燥に駆られる。
オールマイトは、わたしが殺すから。
わたしを、
「棄てないで」
口をついて出た言葉は吐息に霞む程に小さく、きっと誰かに届きはしない。
水を裂いて右手を突き出し、細く、細く、最大級に圧縮した光弾を撃ち出す。
「──穿て」
これは「光」だ。
圧縮を重ねた結果、超高エネルギー弾と化したそれは文字通り
「ぐっ！？」
「あ？」
っ、外した……！
「オールマイト！！」
「こンのクソデクがぁぁっ！！」
「かっちゃぐぼあ！！」
瞬時に飛んできた少年が、味方諸共Aを爆破する。
その衝撃でAを抱えていた少年の力が緩んだ隙に、突き出された腕を瞬きより早く力任せに掴み、更に爆破を繰り返しながら強引に投げ飛ばした。
「半分野郎！！」
水から引きずり出されるが、戻りきらない身体では受身も取れず、爆撃ごと地に叩き付けられたために肺が空になる。
同時に襲い来た氷が首だけを残しAを封じ込める。
その氷塊は硬く厚く、拘束される前なら手段もあっただろうが、こうなってしまっては脱出は容易ではない。
Aの視界は朧気なままだが、回り続ける頭はしかし焦りばかり生み出している。
なんとか脱け出そうとするが、そもそも動く事事態できなかった。
八方塞がりかに思えたこの状況は焦りを降り積もらせていき、痛みを感じないAだから気付かなかったが全力で焦り続けた頭はオーバーフローして猛烈な痛みを発していた。
Aの防衛本能が焦りを諦観に落とし込んでいく。
それはAの身体を守り、熱が引いていくように心を再び虚にしていった。
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詞葉(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです！ 何分遅筆なものでお待たせすると思いますが、是非よろしくお願いします。 (2020年3月12日 12時) (
レス) id: dc1dd40e5c (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - とても面白いです…！更新楽しみにしてます！ (2020年3月11日 1時) (レス) id: 0d837f5408 (このIDを非表示/違反報告)
詞葉(プロフ) - 桜猫さん» コメントありがとうございます。ちょっと迷走しつつあるので気長にお待ちいただければと思います。いただいたコメントでモチベ上げて頑張りますね！ (2019年9月2日 23時) (レス) id: df44a89d14 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫(プロフ) - 夢主ちゃんの今後が気になりますな… (2019年9月2日 17時) (レス) id: b3a762d464 (このIDを非表示/違反報告)
詞葉(プロフ) - ルーさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです！ 仕事の合間にぽちぽちするのでゆっくりになりますが、ハピエン厨なのでそうしたいと思っています。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 703ce966a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詞葉 | 作成日時：2017年10月7日 13時
