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あの日、
重力に従うまま地面に叩きつけられたわたしは、なにがなんだかわからないまま猛烈な痛みの中死んだはずだった。
目がさめるとわたしは生きていて、嫌な夢をみたと思った。
しかし違和感に目をやれば、辺りは大きな何かを叩きつけたように一面血の海で、その中心は紛れもなくわたしだった。
混乱と恐怖のあまり悲鳴も出なかったけれど、初めて目にした凄惨な光景にたまらず嘔吐した。
しばらくしても混乱は覚めず、何も考えられないまま、とにかくその場を離れたくて、動かない身体を引きずって逃げ出した。
あちこちぶつけたり転んだりもしたが、いちいち気にしている余裕などなく、ただ救けを願った。
誰でもいい、誰か、たすけて。
そこは誰の目にもつかないような大通りからも遠い暗い路地だったから、救けてくれる誰かを求めて、宛もなく彷徨った。
ようやく明るい場所を見つけたわたしは、そこに歩く人々を見た途端に、わたしの中の「なにか」が砕けた音を聞いた気がした。
それは、わたしと同じ普通の人、そして一部が異形の者、動物のような者、完全に異形の者。
それらが
わたしは悟った。
わたしは何に救けを乞うたらいいのか、どこへ逃げればいいのかを見失って、ゆっくりと暗い路地へと戻った。
完全に気力が尽き、うずくまって数日。
ふいにお腹が空かないことに気づいた。
腹にやった手を見て、爪が伸びていないように思えた。
その手には無数の擦り傷があるはずなのに、転んだ膝は擦りむいたはずなのに、かさぶたも傷跡すらないことに気づいた。
胃の腑が冷えた。
再び沸き上がる恐怖のまま、鋭利な石で手の甲を裂くと血が垂れた。
次の瞬間、仄かに光り、傷は消えた。
わたしは凍りついた。
押し寄せる恐怖が更なる悪寒をもって氷を砕き、その恐怖に駆られるまま力任せに腕を裂いた。
裂傷から血が溢れたが、先程より強く光ってそれは消えた。
込み上げる涙とどうしようもない絶叫。
これは絶望だ。
普通に生きていた普通の人間だったはずなのに、たかが十六年しか生きていないのに、突然、普通どころか、人間ですらなくなってしまったことへの、深い絶望だ。
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詞葉(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです！ 何分遅筆なものでお待たせすると思いますが、是非よろしくお願いします。 (2020年3月12日 12時) (
レス) id: dc1dd40e5c (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - とても面白いです…！更新楽しみにしてます！ (2020年3月11日 1時) (レス) id: 0d837f5408 (このIDを非表示/違反報告)
詞葉(プロフ) - 桜猫さん» コメントありがとうございます。ちょっと迷走しつつあるので気長にお待ちいただければと思います。いただいたコメントでモチベ上げて頑張りますね！ (2019年9月2日 23時) (レス) id: df44a89d14 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫(プロフ) - 夢主ちゃんの今後が気になりますな… (2019年9月2日 17時) (レス) id: b3a762d464 (このIDを非表示/違反報告)
詞葉(プロフ) - ルーさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです！ 仕事の合間にぽちぽちするのでゆっくりになりますが、ハピエン厨なのでそうしたいと思っています。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 703ce966a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詞葉 | 作成日時：2017年10月7日 13時
