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Aちゃんと入れ替わりで休憩をもらって、この後は、なかなかの繁盛で休む暇もなく、話せないまま一日が終わった。
『お疲れ様でした』
「あ、Aちゃん待っ、!」
俺に見向きもせずにパタンと閉まるドア。
情けなくて、はぁ、と大きなため息を吐いてしゃがみ込んだ。
「立ち直れねー……」
「はしもっちゃ、」
「痛?!」
ドアのそばにいたから、開けられたドアがガンっとぶつかった。
うう、痛い。ぶつかった箇所を労わるように撫でていると、申し訳なさそうに猪狩が俺を見つめる。
「あ!?ごめん!」
「どうしたの?Aさんに振られた?」
「振られてないし、告白すらしてないし、……まだ、好きじゃないし」
「ふうん、まだ、なんだ?」
意味深に笑って、みんな待ってるから早く片付けしてね、と外に出ていく。
いつまでも待たせるわけには行かないから、重い腰を上げてサロンを外した。
「……お疲れー、」
「はしもっちゃんテンション低くない?」
「さくちゃんは元気そうだね、楽しかった?」
「楽しかった……!」
きらきらと目を輝かせるさくちゃん。
後ろ手にはかき氷を持っているようだ。
「かき氷?」
「瑞稀くんが優斗に削らせた!」
「はしもっちゃんの分も作ってあげたら?」
「5個目!腕が痛いんれすけど!!」
「……俺はいいかなー、猪狩にあげなよ」
なんかちょっとふざける気分にはなれなくて、一人で先に屋外に出る。
こんなに重たい気持ちでも、やっぱり海は憎いほど綺麗で永遠に続く碧をただじっと見つめた。
「……好きになっちゃったのかな、Aちゃんのこと、」
かな、じゃなくて、
「好きなんだ、」
この景色をAちゃんと一緒に見れれば、なんて、そろそろこの気持ちは誤魔化せなさそう。
だってヒトメボレってあるんだから、たった数日で好きになってもいいでしょ?
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みーま(プロフ) - 最後においシャンの歌詞でてきてやられました……🤦♀️作ちゃんの良さめちゃくちゃ詰まってます!!ありがとうございます!!! (7月27日 14時) (レス) @page41 id: e266a86186 (このIDを非表示/違反報告)
hiレベルな小5 - こんな素敵なお話ありがとうございました! (2020年2月17日 18時) (レス) id: 62d5677c5a (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっきー(プロフ) - ハヤテさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!^ - ^ (2019年8月26日 2時) (レス) id: c0a7664ca3 (このIDを非表示/違反報告)
ハヤテ - 面白かったです!《*≧∀≦》私の暇な夏休みにぴったりなお話でした! (2019年8月22日 19時) (レス) id: ef8049b1e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はいはいこらぼ x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=blueao5&scr=novel/jeyuto01...
作成日時:2019年8月13日 22時