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子狐、夜の散歩に行きます。 ページ40

「アヤメちゃん、アヤメちゃん」

忘年会後、アヤメのいる寮の部屋に一緒に帰ったAは飲んでいる途中で眠ったアヤメを揺らすが、

彼女は起きる気配はない。

ボーッと辺りを見回すと先ほどから飲んでいたお酒の容器が複数転がっている。

「さすがに飲みすぎた…」

少し酔い醒ましに散歩をしようと立ち上がり、部屋を出た。









「はぁ…」

夜風がAの頬と髪の間を通り抜けていき、その心地よさから息を吐いた。

ボンヤリと酔った頭で歩いているせいかいつの間にか閻魔殿の金魚草が植えてある場所へと辿り着いた。

頬を赤くしている金魚草はゆらゆらと揺れている。

「あ、お酒の匂いする」

階段に座り、金魚草の料理が食べたいなと考えていると足音がこちらのほうへ近づいきていた。

匂いと聞きなれた足音にAはその人物が誰なのかすぐにわかる。

「鬼灯様」

「おや、Aさん。どうしたんですかこんな夜更けに」

「酔い覚ましに散歩してました」

鬼灯はA隣へと腰を下ろし、同じように金魚草を眺める。


「鬼灯様は見回りですか?」

「ええ、部屋に戻る前に」

「今日の忘年会すごく楽しかったです」

「そうですか。閻魔大王に伝えておきます。

 言い出したのはあの人ですから」

風に乗り鬼灯の香りがAの身体を通り過ぎる。

酔いもあり。その香りをもう少し近くで感じたいと鬼灯の方へと身を寄せた。


「…飲み会ではあんな事を言いましたが、

 私はAさんが選んだ人なら文句は言いません。

 性格や素行に難がなければ…」

「まだそんな予定はないので大丈夫です」

Aは鬼灯を見つめ、身体の中でグルグルとうごめく感覚と喉の奥が熱い。


「鬼灯様が私の…」


_旦那さまにはなってはくれないのですか?_


鬼灯にもたれかかったAからは続きの言葉は出てこない。


「Aさん?」

何かを言いかけて突然止まったAに鬼灯は不思議に思いながら顔を覗き込んだ。




「…き、気持ち悪い…吐く…」

口元を抑えて真っ青な顔をしたAは数秒後に嘔吐してその嘔吐物はしっかりと鬼灯の着物へとついた。




鬼灯は着物は新しいのを出そうと考えながら、地面に這いつくばっているAの背中をさする。


「これに懲りたらお酒はほどほどにしなさい!!

 ほら、全部吐いちゃいなさい!!」

「はい…オロロロロ…」


後日、白澤宛にクリーニングの請求書が届いたそうだ。

子狐、新年の挨拶をします。→←子狐の旦那さん候補。



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猫もん - 子狐が座敷童子に嫉妬する話、泣いてしまいました…小さい頃ってこんな感じだったなぁ…と思い出しましたw (2023年1月19日 18時) (レス) @page6 id: ab6da51256 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 褓さん» ありがとうございます。 (2020年6月16日 1時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いえいえ、、!鈴さんのできる範囲でゆっくり更新して下さい!気長に待ってます! (2020年6月10日 22時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 褓さん» コメントありがとうございます。留守にしていてすみません。更新頑張ります(*´∀`) (2020年6月10日 16時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 久しぶりに占ツク開いたらたくさん更新されてて嬉しかったです、、!!これからも更新楽しみにしてます〜!! (2020年6月10日 12時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2018年3月7日 0時

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