【鬼灯の冷徹】子狐こんこん弐

ヒーローと迷子ちゃん前編＊コラボ番外編＊ ページ12

この世、あの世と分かれる世界。

この世界の面白いところは時たま不思議なことが起こる。




「木霊さん」

暇をもてあますAは一人山のほうへと遊びに来たが、

どこかへ出かけているのか木霊は不在であった。

「つまんないの」

Aは木のカブに座って頬杖をつく。

他に動物はいないかと周りを見渡せば少し先にある木の根元にある穴。

そこに動物はいないかとAは駆け寄って覗き込んだ。


「何も見えない」

穴の中は暗く底が見えない。とても深そうだ。

何か見えないかと体を前に倒せばサラリとした砂が体を支えている手を滑らせて仕舞う。



「あ…」

Aの体は穴の中に入ってころころと中を転がり落ちた。









「いたた…」

なぜか出てきたのはどこかの敷地内。

Aは辺りを見渡せば知らない建物とわずかな植物。

自分が出てきたと思われる穴はない。

敷地内の外には森が見える。

そこに行けば戻れるだろうかと思ったときだった。


「お前はどこの子だ。どこから進入した」

影がかかり、声がした背後を見れば変わった服を着た大人がAを見下ろしていた。

睨まれているわけではないが圧を感じるその視線と声色。

「あっ！コラ待て！！」

Aは恐ろしくなって狐に戻ってその場を逃げ出した。



「昨日のヒーロー名のやつ面白かったね〜」

ほわ〜んと話す麗日に「皆個性があって良いよね」と緑谷も相槌をうつ。

ここはヒーローにを目指す子供たちが通う高校。雄英高校。

様々な個性を持った生徒達が日々勉学と修行に励んでいた。


「思い出すのもいいが次の授業の準備を…」

と真面目な飯田が声をかけた時だった。



「お前ら席につけ」

担任である相澤が教室に訪れ、皆は不思議そうな顔をする。


「次先生の授業じゃなくね？」

「どうしたの？」

「今から説明するからお前らはやく席につけ」

生徒達の質問に答えず、相澤は席につくように促す。

それにより生徒達はゾロゾロと席に着いた。


「学校の敷地内で外部の者の存在を確認した。

　相手は子供みたいだが、ヴィラン(敵)の子供の可能性がある。

　クラスを受け持っている以外の教師達が今構内を捜索している。

　皆放送があるまで教室で待機だ」

相澤の言葉に皆がザワつく。


「またヴィランの進入？」

「警備は強化したんじゃないのかよ！」


「強化をしてなかなか進入できないようになっている。

　不明な点が多くてな。捕まえて事情を聞かないとわからない」

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