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名前を聞いた瞬間、鋭かった父の目が丸くなって。
険しかった表情が少し柔らかくなったのが分かった。
……え? なに? なんなの??
「……覚えてましたか」
「もちろんだよ……!!
失礼なことを言ってすまないね、一瞬誰か分からなかったよ」
「……え?」
「いやあ、こんなに大きくなって。なあ、A」
「へ……? なに、どういうこと?
お父さん、跡部君と知り合いなの??」
「何言ってるんだお前。
知り合いなのは俺じゃない、Aだよ」
……どういう、こと?
確かに彼をここに連れてきている時点で
知り合いなのは間違いないのだが、
大きくなって、という父の口ぶりからして私が昔から
跡部先輩を知っているかのような言い方だ。
私がまだ物心ついていない幼少期に
出会っていたということだろうか。
いや? いくら父が大企業の役員といえど、
彼レベルの人物との関わりなんて無いはずだ。
ましてや幼馴染だなんてそんなものでもないだろうし。
父の困惑が私に移り、視線を泳がせつつ
彼らの会話に耳を傾ける。
「まぁ、覚えてないのも無理はないか。
あの時、まだお前4歳だったからな」
「……はい??」
「イギリスに家族で旅行に行った時、
お前は一度景吾君に会ってるんだよ」
「……え……!?」
「ほらお前、橋のところで迷子になっただろ?
その時、助けてくれたのが彼だ」
一瞬、頭が真っ白になった。
なにそれ。初めて聞いたけど。
正直、あやふやではあるがイギリスに行った記憶はある。
「でっ、でもあれは、日本人の男の子じゃなかったような……」
そう、あれは確か――――
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優(プロフ) - 財堂若也さん» 応援コメントありがとうございます! 一応ラストスパートかけているつもりですが文章力と発想力が乏しくオチを見失いかけておりますw あと2シーズンくらいは要するかもしれません…すみません…気長に見ていただけると幸いです… (2020年12月31日 20時) (レス) id: 8b3ebb8f88 (このIDを非表示/違反報告)
財堂若也 - ラストスパートかかってきた感じですか?更新頑張ってください! (2020年12月31日 19時) (レス) id: 7fa4fbfbfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:2ytluvuusham081 | 作成日時:2020年12月29日 12時