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橘さんがぼそっと呟いた言葉に静かに頷く。






この中でまともなのはどうやら橘さんだけのようだ。






この中の誰かに惚れなければならないのだとしたら

私は迷いなく橘さんを選ぶ。






そのくらい、シュールだ。






「じゃあAちゃんには彼氏はいないの?」






「へ? あ、いや。いないですけど」






「アーン? 何言ってやがる。俺様がいるじゃねーの」






「え、やっぱりそうなの?」






「ばっ! 違いますってば!

これは跡部先輩が勝手に言ってるだけです。

彼氏なんかいません」






「へぇー、なら好きな人は?」






「……それ聞いてどうしたいんです。

私の好きな人なんか知って何が楽しいんですか千石さんは」






「ん? いや、いないなら俺が立候補しちゃおっかなって」






「……チャラ……」






「え、Aちゃん今なんて言った?

なんかチャラって聞こえた気がしたんだけど気の所為??」






「気の所為じゃないですよ。

大丈夫です、千石さんの耳は正常です。安心してください」






「……というか、千石。ちょっといいか」






「ん? なに?」






「その、もうやめておいた方がいいと思うぞ」






「え? 何をだい?」






「Aさん、とやらに絡むのをだ。

なんというか、いい加減跡部の視線が痛い。

俺が睨まれている気になる」






「跡部君……? っえ、なんでそんなに睨むの跡部君」






「なんでだろうな。

分からねえなら続けてみればいいんじゃねーの」






「……やめ、ときます……」






打って変わって葬式状態になった車内が

どうにもこうにも息苦しい。






それは千石さんとて同じようで、

必死に跡部先輩と目を合わせないよう窓の外に視線を追いやっていた。






かと思えば、突然何かを見つけたように

あ。と声を漏らした。






「……あ、大石君だ! おーー」
「おいもうやめろ! 乗れねえよそんなに!

いい加減にしやがれ!!」






……あれは確か、青学の副部長さんだ。






この間何気なく部誌を見ていてそんな名前があった気がする。






口を抑え込まれた千石さんは

ふがふが言いながらも席に戻った。






終始こんな感じで騒がしい中

漸く着いた立海大附属中学校の文字に安堵のため息を漏らした。






だる絡みをされながら無理矢理千石さんに連れていかれた

跡部先輩の背中を傍観者のように眺めていると。






「……大変、そうだな」

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設定タグ:テニスの王子様 , 氷帝学園 , 跡部景吾   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 財堂若也さん» 応援コメントありがとうございます! 一応ラストスパートかけているつもりですが文章力と発想力が乏しくオチを見失いかけておりますw あと2シーズンくらいは要するかもしれません…すみません…気長に見ていただけると幸いです… (2020年12月31日 20時) (レス) id: 8b3ebb8f88 (このIDを非表示/違反報告)
財堂若也 - ラストスパートかかってきた感じですか?更新頑張ってください! (2020年12月31日 19時) (レス) id: 7fa4fbfbfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:2ytluvuusham081 | 作成日時:2020年12月29日 12時

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