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「……なんか、すまないな跡部。助かる」






「……それは何より」






再び信号待ちで客を乗せる羽目になった跡部先輩は

最早咎めることを諦めたらしい。






不憫だ、すごく。






いつものように悪態もつかず、

なかなか丁寧な一言で返した跡部先輩を見て酷く同情した。






つーかこれ何人乗りなんだ。






基本セダンタイプだったら5人な気もするけど、

確実に定員オーバーではないのだろうか。






そんなの気にもしていないであろう千石さんは

無邪気に笑って跡部先輩と橘さんの肩を抱いていた。






「まぁまぁ、旅は道連れって言うじゃん?

橘君もなかなかのラッキーの持ち主だね!

きっと今日の抽選会もいいとこ引けるよ!」






「そうか……それは、心強い……」






「……私降りましょうか、跡部先輩」






「馬鹿言え。お前降ろすくらいなら

この阿呆2人を引き摺り降ろすっての」






別に私はひとつも悪くないのだが、

この空気の中黙っているのが申し訳なくなり

声をかけたものの余計なお世話だったようだ。






イライラの収まらない彼をこれ以上触発するのはごめんだと

できるだけ身を縮こまらせた。






なんで高級車の中でこんな肩身狭い思いをしなきゃならないんだ。






普通もっと伸び伸び座れるもんだろうよ。






ロールスロイスも泣いてるぞ、と

とりあえず思ってもない労りをしておいた。






「あ、橘君も初めてでしょ? Aちゃん。

紹介するよ、氷帝2年のマネージャーさん」






「Aちゃん……? あぁ、あんたのことか。

そうだな、初めてだ」






「おいなんでお前が紹介するんだ。

話しかけんなって言ってんだろうが」






「ねぇなんでさっきからそんなに不機嫌なの跡部君!

いつもはもっと余裕ぶちかましてるじゃん!

Hey! 乗ってきな千石! くらい言ってくれるじゃん!」






「言ったことねえだろそんなの。

いつ俺がそんな意気揚々とHey! なんて使ったよ。

1度でも聞いたことがあるのかてめぇは」






「……いや、跡部先輩なら言いそうな気もしますけど」






「は? なんだA。お前は千石の味方だってのか」






「まぁそうですね。跡部先輩よりは千石さんの味方をします」






「えっまじ? やだAちゃん。

もしかして俺に惚れちゃった?」






「いや、それは無いですけど」






「ハッ! 俺様を差し置いて

お前ごときに惚れるわけねえだろ。なあ、樺地」






「ウス」






「え、樺地くんもいたの?」






「……シュールだな、非常に」

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設定タグ:テニスの王子様 , 氷帝学園 , 跡部景吾   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 財堂若也さん» 応援コメントありがとうございます! 一応ラストスパートかけているつもりですが文章力と発想力が乏しくオチを見失いかけておりますw あと2シーズンくらいは要するかもしれません…すみません…気長に見ていただけると幸いです… (2020年12月31日 20時) (レス) id: 8b3ebb8f88 (このIDを非表示/違反報告)
財堂若也 - ラストスパートかかってきた感じですか?更新頑張ってください! (2020年12月31日 19時) (レス) id: 7fa4fbfbfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:2ytluvuusham081 | 作成日時:2020年12月29日 12時

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