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まただ。






またあの時の、保健室の時の、鳳くんだ。






怒っているような、そうじゃないような。






有無を言わさぬ圧力を放つ彼に気圧されて

視線を落としながら声を振り絞る。






「……い、や……そんな、ことは……、」






無い…のだろうか。






本当に、違うと言いきれる、のだろうか。






言いきっていいもの、なのか。






そんなことは無い。






何故かその一言が出てこなくて、声が出なくて、

視線を落としたまま黙ってしまう。






そんな私を見た鳳くんが、また嘲笑った。






「……いつもみたいに否定、しないんだね」






「……」






「まぁ、だったら泣き言言ってないで

最後までやり遂げるべきなんじゃないの。

無理矢理やらされてる訳でもないんだし、自分の意志で、」






「泣きそうに、なったの」






らしくも無い嫌味のような叱咤を

つらつらと流れるように述べる鳳くんの言葉を遮り、

唯一出た声がこれだった。






彼の言葉を聞きたくなかったとかではなく、

中途半端になってしまった彼の質問に対する答えを

正しく返事をしようとばかり考えていた私から

やっと出た答えがこの一言だった。






今度は鳳くんが押し黙って、静かに私の言葉を待っていた。






「彼らの、手塚さんと跡部先輩の、試合観て、

なんか分かんないけど、泣きそうに、なったの」






別に氷帝が敗けたから、とかそんな簡単な話では無い。






2人の感情が、2人の背負うものが、

遠目からでも伝わってくるような気がして。






初めての感覚だった。






あの感覚をもう一度、もっと近くで体感したいと思った。






2人が見る世界を知りたいと思った。






だから、彼と、共に夏を過ごすことを選んだ。






素直にそう告げれば、鳳くんはふっと笑った。






「……まだまだだね、俺は」

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設定タグ:テニスの王子様 , 氷帝学園 , 跡部景吾   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 財堂若也さん» 応援コメントありがとうございます! 一応ラストスパートかけているつもりですが文章力と発想力が乏しくオチを見失いかけておりますw あと2シーズンくらいは要するかもしれません…すみません…気長に見ていただけると幸いです… (2020年12月31日 20時) (レス) id: 8b3ebb8f88 (このIDを非表示/違反報告)
財堂若也 - ラストスパートかかってきた感じですか?更新頑張ってください! (2020年12月31日 19時) (レス) id: 7fa4fbfbfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:2ytluvuusham081 | 作成日時:2020年12月29日 12時

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