41 ページ41
.
紫耀は私を見て
「どうしたの？」
不思議そうに訊ねてきた。
「はい、これ！」
2枚のルーズリーフを紫耀に渡す。
紫耀はそれを受け取ってはくれたけどよく分かっていないのか、きょとんとした表情。
「今日午前の講義二つとも休んでたでしょ？だからそれの分」
「え、書いてくれたの？」
驚いている紫耀。
頷く私。
やっぱり迷惑だったかな…
「再来週テストでしょ？テスト近くの講義は大事だと思って…。
いらなかったら捨ててもいいから！」
これは紫耀に求められてやったことじゃないから。自分が勝手にしたことだから。
「捨てるわけないでしょ。まじありがとう。助かる」
紫耀がふわりと笑ったから私のしたことは無駄にならなかったんだ、って思えて心から嬉しくなった。
「紫耀も4限あるんだっけ？」
「うん、あるよ。だからその前に学食行ってくる」
起きたの遅かったから何にも食べれてないんだよね 、なんて苦笑いしながら言う。
「そうなんだ。じゃあ学食行かなきゃだね。
引き止めてごめんね？」
「全然。これサンキューな。今度お礼させて。
じゃ」
紫耀は食堂の方に向かって歩きだした。
学内を歩いているだけで絵になる。カッコいいなぁ、って見惚れているとすぐに思い出した。
そして元いた席に座る。
「優太さんごめんなさい。話の途中だったのに」
「いいよいいよ。
紫耀に何渡してたの？」
よかった。優太さんは少しも怒ってないみたい。
「えっと、今日紫耀が休んでた講義を板書したやつです」
「…A優しいな」
優太さんが眉を下げてそう言ってきた。
「そうですかね…？」
未だに少しお節介だった気がしてしまうから。
「うん…。紫耀に頼まれてたんだろ？」
「え？違いますよ。私がしたくてしたんです」
今まで紫耀にこういうことを頼まれたことはない。普通は頼まれたらするんだろう。
でも私は自主的にやった。
「それは…紫耀が好きだから？」
優太さんが真剣な眼差しでそんなことを聞いてくるから顔が一気に熱くなるのが分かった。
「はい…」
きっと、好きだから何かしてあげたくなるんだと思う。
「…そうだよな」
優太さんはこんな私を一体どう思っているんだろう。呆れてしまっていても可笑しくはない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1485人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
來(プロフ) - やんやんさん» とっても好きな作品と言ってもらえてとても嬉しいです(^^)切ないですよね…。これからも切ないシーンが出てくると思いますがお付き合いお願いします(>_<) (2020年10月6日 23時) (
レス) id: 77d7f96759 (このIDを非表示/違反報告)
來(プロフ) - munさん» 二人とも好きな人が原因で辛くなってるんですよね…。自分でも書きながら切な！！って思ってました… (2020年10月6日 23時) (レス) id: 77d7f96759 (このIDを非表示/違反報告)
來(プロフ) - 初子さん» はじめまして。ドキドキをお届けできているようでよかったです！ありがとうございます(TT) (2020年10月6日 23時) (レス) id: 77d7f96759 (このIDを非表示/違反報告)
やんやん(プロフ) - いつも涙ポロポロ出しながらぎゅーんと切なくなりながら見ています（ ; ; ）とっても好きな作品です。 (2020年10月6日 21時) (レス) id: 97979cb1f9 (このIDを非表示/違反報告)
mun(プロフ) - 44ページの最後、お互い苦しいでしょうね・・・平野君にとっても嫌だし、それを聞いてしまった夢主も嫌だろうし・・・なんだかとても切ないです。 (2020年10月5日 17時) (レス) id: 0e3b0babab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：來
| 作成日時：2020年9月16日 22時
