某探偵社員、宮城へ。3

任務８８ ページ17

.






その日の放課後。


帰路に着いた私は、有栖川さんに貰った番号を眺める。



〈どうしようも出来なくなったら、この番号に掛けてね〉



あれから、一日中有栖川さんの言葉が頭から離れない。


ばれてる、よね。


あの時の有栖川さんの顔を思い出すと、もう治りかけてる傷跡が傷んだ気がした。


今まで見た中でいちばん、優しい彼女の顔。



──────助けてくれるかもしれない。



何故か、彼女の言葉には重みがあって、頼りたくなってしまう。


ほとんど話したこともないのに、こんなに信用してしまっていいのだろうか。


……助けを乞うのは、許されるだろうか。





そんなことを考えているうちに、いつの間にか家に着いていて。


｢…はぁ｣


ため息が零れる。


だって、家に入れば────────









.









.









.









.









｢早くして。そんなこともできないの？｣



｢…おい飯冷めてんじゃねぇか｣



｢ほんとにあたし達の子供なのかしらね｣



｢堕ろせばよかったなこんな欠陥品｣



｢………ごめんなさい｣



｢謝れば済むと思ってんのかよ！｣



｢…ぅあッ!!…………ごめんなさいっ……イヤっ！…｣









.









.









.









.









私はただの〈犬(奴 隷)〉だから───────






.

任務８９→←任務８７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す