第33話 ページ35
「君も僕を理解できないか……武士にとって、最大の不幸とは理解されないことだ。
いくら才能があり、たゆまぬ努力をしていようと、それを理解されず、それに見合うだけの評価をされない。僕もまた真の理解者を得なかった。
どんな時も、どこへ行こうとも、僕の器が満たされることはなかった……それがまさか、こんな所で出会えるとは」
伊東は言葉を切り、屯所を見わたした。
真選組は江戸の治安を守るだとか、そんなものを果たすような大層な組織ではない。所詮は田舎者の集まりだ。その中に、自分がずっと探し求めていた者との出会いがあるとは思わなかった。
「しかし、僕にとっての最大の不幸は、最大の理解者が敵だったということだ」
土方は伊東の内に秘める欲望に気付いていて、排除しようと目論んでいた。だからある意味ではあの男こそが伊東を最もよく理解していた。
だがそれを排してしまった以上、自分をわかってもらう手段は多くはない。どんな奴にも理解できる形で、自らの優秀さを示すしかないだろう。
「土方は消えた。となれば……近藤勲を暗殺し、真選組を我がものにする」
*
すぐそばの廊下で、真選組監察である山崎は伊東の謀反の企てを聞いてしまい、動揺しつつも聞こえてくる声に耳をすませている。
「やはりあの男……!」
副長が言っていた通り、伊東を野放しにしておくのは危険だったのだ。一刻も早く伊東の企みを阻止しなければならないが、下手に動くと伊東側の人間に始末されかねない。
頼れるのはもうあの人以外にいない。
「副長に、早く副長に知らせなければ……!」
山崎は急ぎその場をかけ出した。しかしながら、伊東はすでに彼に気づいていた。
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yunami☆彡(プロフ) - 美穂さん» ご覧頂きありがとうございます!楽しんで頂けてとても嬉しいです♪今年受験生になるので更新の頻度が落ちるかもしれませんが、今後ともこの作品をよろしくお願いします! (2019年2月2日 16時) (レス) id: dcfedc9460 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - こんにちは☆凄く面白いです(*^^*)これからの更新楽しみにしてます♪ (2019年2月1日 12時) (レス) id: 8db3d29e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yunami☆彡 | 作成日時:2018年8月21日 8時