約束 探鉱者 ページ9
｢...あの｣
｢なぁに｣
ペンを弄っていた手を止め、肘をつきながらこちらをじっ、と見てくるキャンベルくんに意を決して話しかける。
｢そんなに見られると集中できないんですけど...｣
キャンベルくんとは同じクラスだというだけで殆ど話したことがないはずだ。
故になぜこんな状況になっているのか全く理解ができない。
｢まあまあ、僕の事は気にしないでよ｣
それ今日中に提出なんでしょ、と微笑みながら私が持っている進路希望調査書を指さしてくるキャンベルくん。うん、顔が良いってずるいな。
｢気にしないでって言われても...｣
誰だってニコニコしながらずっと自分を見てくる人がいたら集中なんてできないだろう。
｢ね、ちょっと見せてよ｣
｢え、あ、ちょっ｣
返答する間もなく持っていた調査書をするりと奪い取られる。
｢わー、見事に真っ白。 まだ進路決まってないの? ｣
｢...うん｣
高三のこの時期になって進路が決まっていないのはかなりまずいと自覚はしているが、昔から将来の夢だとか進路の事だとかを考えると何かを思い出せと言わんばかりに頭がキリキリと痛んで仕方なかった。
夢のような、現実。
｢ふーん......あ、そうだ。 ちょっとペン貸して｣
｢え、あ、はい｣
｢ありがと｣
ペンを受け取るとサラサラと何かを調査書に書き込むキャンベルくん。
...ん? 調査書に書き込む...?
｢ちょっと待って! 何書いてるの?!｣
｢はい、できた。 これで提出しておいでよ｣
ずいっ、と目の前に差し出された調査書をよく見ると『ノートンくんのお嫁さん♡』とご丁寧にハートマークまで付けてそう書いてあった。
｢はあ!? お、お嫁さんって...! ｣
｢良いと思わない? 絶対幸せにするよ｣
調査書を机にそっと置き、私の頬に手を添え目を細めるキャンベルくんはそれはもうかっこいい。イケメンはずるい。
｢で、でも私たち...｣
｢付き合ってもない、でしょ?｣
こちらの言いたい事など分かりきっているかのように少し自慢げに問うてくる。
その通りだ。私とキャンベルくんはただのクラスメイトであり、付き合うどころか友達ですらない。
｢でも、約束したんだよ｣
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うめぼし - あぁ…好きです… (2022年2月10日 0時) (
レス) @page19 id: 6957d2b079 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - 杠さん» コメントありがとうございます。小一時間踊り狂えるほど嬉しいです。ぜひ引き込まれてください (2019年12月8日 11時) (レス) id: 584fcfefdb (このIDを非表示/違反報告)
杠(プロフ) - うわ素敵な文章かかれますね…引き込まれちゃいそうです… (2019年11月2日 10時) (レス) id: 28dffd500b (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - ぽぴらさん» 温かいコメントありがとうございます...！なるべく早く更新できるよう頑張ります〜 (2019年7月27日 2時) (レス) id: 584fcfefdb (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - ﾋｰｰｰｯ好きです……悶えました……更新待ってます〜 (2019年7月8日 23時) (レス) id: 3f5b5addce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんず | 作成日時：2019年6月10日 19時
