無題 ページ11
短いお話纏め。書きたい所だけ書いた尻切れトンボ。
『花』 お相手自由
喉に何かがつっかえる感覚。
息苦しい。
また、あれか。
｢んっ......う、あ...｣
誰にもばれないように声を極力抑え吐き出す。
夏水仙、アネモネ、リナリア。
好き。怖い。悲しい。好き。苦しい。もう嫌。好き。愛してる。
頭の中がぐちゃぐちゃして勝手に涙が出てくる。
あの人の事を考えながら花を吐く。
何度も。何度も。何度も。
涙が止まらない。
苦しくて仕方ない。
叶わないならこんな想いなんていらない。
そう思っても止まることを知らないこの感情に腹が立つ。
明日も明後日も意味もなく花を吐き続けるのかと思うと、いっその事死んでしまいたいくらいだ。
そんな勇気、あるはずもないけれど。
『たまには』 写真家
｢ぎゅーってしたいです｣
｢急にどうしたの｣
読んでいた本を閉じて、ちらりとこちらを見るジョゼフさん。
｢いや、単純にしたいと思いまして｣
｢ふーん、まあいいや｣
はい、と手を広げてくれるジョゼフさんの胸に飛び込む。
お高そうな匂いがする。
｢んふふ、幸せ｣
｢はいはい｣
他の人が聞いたら冷たいだとか思うのかもしれないジョゼフさんの言葉も、私からしたら充分だった。
｢ジョゼフさん、ちゅーしたいです｣
｢...一回だけだからね｣
言われた通り触れるだけのキスを一度だけする。甘い味。
｢満足しました。 ありがとうございます｣
よいしょ、とジョゼフさんの腕の中から抜け出し、お礼を言う。
｢それじゃあ、ゲームがあるので失礼しますね｣
｢ん、また何かあったら甘えにおいで｣
...全部お見通しって事か。
『きらい』 納棺師
｢なんで...どうして......｣
こんなの、知らない。
こんな愛、知らない。
｢ほら、Aさん。 こっち向いてください｣
顎を掴まれ無理矢理振り向かされる。
どろどろと欲が煮詰まった瞳。きらい。
｢ふふ、いい表情ですね｣
蕩けそうなくらいゆるりと輪郭を撫でる指先。きらい。
｢やだっ...！ 離して......！｣
｢こら、逃げちゃ駄目です｣
腕の中に閉じ込められる。きらい。
｢僕は貴女を守りたいだけなんです｣
分かってください、と耳元で囁かれる。
甘い声。きらい。
ふわりと香る少し甘い匂いも
彼の人より低めの体温も
彼からの愛情も
全部、全部きらい。
｢ね、ほら、僕に身を委ねて......｣
なのに、なんで。
｢おやすみなさい。 Aさん｣
私の額に彼の唇が触れる。
もう、何も考えたくない。
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うめぼし - あぁ…好きです… (2022年2月10日 0時) (
レス) @page19 id: 6957d2b079 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - 杠さん» コメントありがとうございます。小一時間踊り狂えるほど嬉しいです。ぜひ引き込まれてください (2019年12月8日 11時) (レス) id: 584fcfefdb (このIDを非表示/違反報告)
杠(プロフ) - うわ素敵な文章かかれますね…引き込まれちゃいそうです… (2019年11月2日 10時) (レス) id: 28dffd500b (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - ぽぴらさん» 温かいコメントありがとうございます...！なるべく早く更新できるよう頑張ります〜 (2019年7月27日 2時) (レス) id: 584fcfefdb (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - ﾋｰｰｰｯ好きです……悶えました……更新待ってます〜 (2019年7月8日 23時) (レス) id: 3f5b5addce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんず | 作成日時：2019年6月10日 19時
