ぬらりくらりと

40話 ページ43

鯉伴side

『父さん！！』

後ろから息子の声が聞こえた。それに答えようと振り替える。それと同時に目の前に影が出来て、苦しむ声と自分の右肩に痛みが走った。
何が起こったのか分からなかった。

「リキト！！」
「ああ…鯉伴さま…？あああああ！！」
「ひぇっひっひっひっ悔やめ女！自ら愛した男と成せなかった子供をさしたのじゃぞ？」

ただただ自分の最愛の息子が血まみれになっていたことしか理解できなかった。頭が真っ白になる。リキトを抱き上げ傷を直そうと手をかざすが一向に傷は塞がらなかった。念じても血は止まらず、リキトの顔色が悪くなり息が弱々しくなっていった。

「くそ！！」
「妾は待ちかねていたのじゃ」
「お姉ちゃんはだれ？？」
「リクオ！逃げろ！」

震える様な声で俺の名を呼ぶ少女に目を向けてみると血のついた刀を持っていた。先程のように取り乱した様子から凛とした声が聞こえる。そして後ろには見たことある顔がそこにあった。

「てめぇ…！」
「ひぇっひぇっひぇっ！今なら奴良組の2代目と3代目を潰すことが出来ますぞ！」
「まぁ、まて鏖地蔵。今、妾は気分が良い。このまま置いておくとしよう」
「ですが…」

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