39話 ページ42
『はぁはぁ…』
来た道を走り戻る。息がたえたえで苦しい。
前を見るとちょうど父さんと女の子…山吹乙女が山吹の花を見つめていた。
『まだ、まっ、てくれ!』
あと少し、あと少しと気持ちが焦る。だが子供の足ではもう少しが長いものだった。タイムリミット…そう言うかのように父さんの口が動きだす。
「…"七重八重 花は咲けども山吹の みのひとつだになきぞかなしき"」
『っ!?』
ふわりと山吹と黒髪が舞う。時が止まったように見えた。山吹乙女から刃が見える。
『父さん!!』
子供の力では何もできない、そう思った俺は父さんの目の前に飛び出た。それと同時にグサッ…と自分の皮膚が刺される音がする。刺された部分が暑い。痛みが全身を駆け抜けた。
『ぐっ!!』
「リキト!!」
父さんの焦る声が聞こえてくる。そんな声を聞きながら山吹乙女の方を見ると絶望したような顔をしていた。温かい感触が肌を駆け抜ける。怪我をした方を見ると父さんが傷を治そうと力を使っていたのだ。
「なんで、なんで治らねぇんだよ!」
焦った様な苦しそうな顔を声をしながら俺をみる。もしかしたら元々この世界の住人じゃないからかもしれない。大丈夫、ただそれだけを伝えたいのに言葉がでない。空気が抜けるだけだった。
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ゆりかめ(プロフ) - ウタさん» そう言っていただけて嬉しいです。すいません、諸事情により更新出来なかったです。もし見ていらしたら今後ともよろしくお願いします (2019年2月10日 11時) (レス) id: a0be7eaf10 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりかめ(プロフ) - 渚果さん» 読んでいただきありがとうございます。返事遅くなってほんとに申し訳ないです。そう言って頂けると嬉しいです。もし、まだ見ていらしたら今後ともよろしくお願いします (2019年2月10日 11時) (レス) id: a0be7eaf10 (このIDを非表示/違反報告)
ウタ - 本当に面白いです!だが、何故。何故ここで途絶えてしまった更新よ… (2018年10月8日 1時) (レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
渚果 - 鯉伴大好き。リクオ愛してる。もう文章が頭ん中でアニメ化して悶絶してたよ← (2016年8月29日 20時) (レス) id: 604b4eb537 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりかめ(プロフ) - コーヒー豆さん» ありがとうございます!!そう言っていただけてとても嬉しいです!頑張ります!これからも宜しくお願いします! (2016年8月12日 15時) (レス) id: 3c24bb2dd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりかめ | 作成日時:2015年4月25日 15時