ぬらりくらりと

37話 ページ40

「リキト、リクオ散歩しに行くかい？」
「うん！行きたい！！」

父さんの声にリクオが元気よく答える。
リクオはニコニコとご満悦の様子だ。実は俺自身も嬉しかったりする。父さんとあんまり出かけることができないからだ。

「お兄ちゃんも行くよね！」
『うん』
「久しぶりにあそこに行くかねぇ」

ふわりといきなり空中に浮く感覚が襲う。慣れない感覚にギュッとその感覚の原因に捕まる。

『っ！？』
「うわぁ！」
「くくくっ…行くぞ」

俺らの反応に満足したのか父さんはニヤリと笑いながら俺達を抱え歩き出す。リクオは嬉しそうに微笑んでいた。それに釣られて自分もニコリと笑っていた。

「どこいくのー？」
「着いてからの秘密だ。」
「えー！教えてよー」

のらりくらりと交わす父さんにずっと質問をするリクオ。ずんずんと父さんは進んでいく。するとある神社の前でとまる。

「ここだ」
『！？』

ザワリと嫌な予感が頭を占める。冷や汗が背中を伝った。まさか、まさかだよな。

「ここの花が綺麗なんだ。山吹の花」

ドクリと心臓が鳴る。目の前に広がる山吹の花。あの時の夢がフラッシュバックする。頭の中に警告音が鳴り響く。帰ろう。そう言おうとしたときだった。凛とした声が俺の声を遮る。

「遊びましょ？」

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