ぬらりくらりと

15話 ページ17

それから何ヶ月かたった。え？時間が早い？……気にしたら負け。うん。負けだよ。
ま、まぁ、それは置いといて
あれから本当に大変な毎日だった。黒田坊に稽古をつけてもらうのは良いんだけど何と言うかハード、この言葉に尽きる。父さん達にはバレたくないから夜するしかないんだけど子どもだから眠い。本当に眠い。動きは鈍くなるし、頭は回らないやで大変だった。でも、その分体力は着いたと思う。付いてなかったら泣けるよマジで。
それに、怪我をすると黒田坊に謝られて、首無には心配されて、父さん達には…うん…本当に大変だった…。でも、今日は俺が待ち望んでいた日。リクオが生まれる日！

「っ……」
『がんばれ』

母さんが陣痛で苦しんでいるのを見てはいられないけど父さんが出入りでここにいないから俺がついている。額に汗をかきながら苦しそうに顔を歪めている。俺もこんなふうに生まれて来たんだと思うとなんか泣きそうになった。

「リキト様、お部屋に戻られてもいいのですよ？」

泣きそうな顔をしていたのか毛倡妓がそう言ってくれる。それにも泣きそうになったが何とか堪えて首を降った。するとふわりと微笑んで

「そうですか？では手を握ってあげてください。」

と母さんの手を握らしてくれた。その手は母さんの苦しさが流れ込んで軽くしてくれるんじゃないかと思いギュっと握った。

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