転職先は京本家

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京本さんの所属するグループはSixTONESというらしい。
部屋のCDが並ぶ棚を指さして「好きに見ていいし興味を持ってもらいたい」と芸能に興味のない人間を募集していたくせに勧誘をされた時は支離滅裂だと思ったけれど




「…歌上手いな」





なるほど、彼らは私の長年抱いていたジャニーズのイメージとは少し違っているようだ、悪い意味ではない。

あと私の雇い主はやはり顔がいい。
ちなみにタイプなのは森本さんだ。彼は知っている、スノープリンスだ。





「こんなのサボりなのに認められる世界線…？」




気がつけば最新のアルバムを全て聴き漁っていて、MVまで見てメンバーの顔と名前を覚えてしまっていた頃には夕方になっていた。

これがこの仕事の落とし穴か…




事前に渡されていた京本さんのスケジュールは5時に帰宅になっていて8時から5時(1時間休憩あり)で働いている私は、ちゃんと時間内に仕事が終われば彼に出会わなくて済むのに、このままでは鉢合わせてしまう。




「…ちょっと気まずいからいやだな…！！」




京本さんと鉢合わせになりたくないが故に残っていた仕事を爆速で終わらせて最後に拝見させてもらったCDたちを棚にしっかりと戻してから家を出る用意をする。
時刻は5時2分…勝った。




ドアノブに手をかけて戸をひらけば、あら不思議、金持ちの家のドアは空気のように軽いらしい




「……おかえりなさい」




「よかった、まだいた…」




もちろん戸が軽かったのは帰宅した京本さんが外から同じタイミングで開けたからで、なにも全然良くねえわと心の中でツッコミながらも少し息の上がっている彼の様子を見ると少し急いで家に帰ってきたようだ。…余計なことを




「残業代出すからもう少し家にいてくれないかな？」




「…喜んで」




私の負けだ。

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