日常と恋心 (ページ12)

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雅紀飲んだ後さ、電車で送るのもあれだったから呼んじゃったんだよね

誰を?

雅紀…翔ちゃん

『はぁっ！？』

プツｯ…

『あっ！え、嘘！』

充電切れた…？

待って待って待って！！

充電の無いスマホを握りしめたまま、リビングへと飛び込む

『居ない…』

彼がここに居た跡はどこにも無い

　
ほんとに昨日、ここに居たの？

どうして俺に知らせないまま帰ったの？

なんで…

スマホを見ても、画面は暗いまま

情けない顔をした自分がうつるだけだ

キュッ…とどこか締め付けられる様な

なんだろこれ

情けないとこ見られたく無いって思ってたのに、見られてんじゃん

そのくせ会えないと苦しくなる

『ばかじゃねぇの…』

いい歳にもなって恋愛に振り回されるなんて

翔くんだって、大人だし

学生みたいに甘酸っぱい恋が出来る訳じゃない

憧れが無いと言ったら嘘になる

でも

小さな少年時代から始まったこの恋は

叶えるまでに随分と時間がかかってしまった

あの時の純粋な気持ちが残ったまま

今の恋は出来ない

『…ごめんね』

大切にしてあげられなくて