33話 サガシモノ ページ35
「…本当は、消えたいんでしょ?」
『…!』
そうだ…、そうだよ、私、今分かったよ
苦しいのに…過去を思い出してしまうのに足掻こうとするから、ずっと、ずっとずっとずっとずっとずっと辛い思いをするんだ 最近はニーゴの活動をしていてもモヤモヤする そもそもピアノも勉強も駄目で今度は音楽サークルで楽しもうだなんて、"本気”でやってるみんなに失礼だよね それに、まふゆも私と一緒にいるのも本当は嫌になったのかもしれない
…あの子は優等生なんだから、一人でなんとかなる、奏たちもいるんだから
『ねえ、ミク…』
『――私、消えたいよ」
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Aは桜の木の側に座り、ただ遠くを眺めていた
あれから、どれくらい時間が経ったんだろう
とても長いような、一瞬のような…
ここにいれば何も考えなくていい
…まふゆと出会った季節もこんな風に桜が満開だったなぁ
ニーゴと初めて出かけた日はとても暑くて、去年の秋は学校行事が多くて張り切ってたっけ
それで冬は受験のために勉強するのに必死で…
「……っ、」
私、何考えてるんだろう
感傷に浸っていると、後ろから足音が聞こえた
きっとミクが帰ってきたんだ、少し一緒に話そうかな
まだこっちのミクのことについて分からないことだらけだし
「――やっと、見つけた」
その声を聞いた瞬間私ははっとした
だってもう聞くことはないと思っていたのだから
ねえ、どうしてここにいるの?
「まふゆ…」
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みずな(プロフ) - 面白かったです!連載終わっちゃったの寂しいな… (2022年3月24日 20時) (レス) @page9 id: 6e79866175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らねい | 作成日時:2022年2月28日 18時