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32話 何も残らない ページ34

それから私は家に引きこもるようになった

高校は受かりそうなところを適当に受験して合格をもらったものの、なかなか学校に行く気になれず、登校する日はだんだんと減るばかり

とはいえ単位が取れないと進級出来ないため、たまに登校し勉強も多少なりとやっていた

でも勉強は今の私にとって意味なんてない



さらに食事をしても味覚がおかしいことに気付き、病院へ行くと心因性の味覚障害と診断された

症状に気付いたのが早かったこともあり完治することが出来たが、当時の自分は食事なんてどうでもよかったのかもしれない









母「A、ちょっといい?」



部屋のドアからノックする音が聞こえ振り向くとお母さんがいた



『……何?』


母「お父さんの転勤の話はもう聞いたわよね
良い機会だしAも一緒に来ない?」


『…。』


母「高校生だから一人暮らしでも大丈夫とは思ったんだけど今は無理そうだし
…はい、これ」



お母さんが渡してきたのは、どこかの学校のパンフレットだった



母「この学校、医療関係の進路先に入学する生徒が多いらしいの、お父さんが調べてくれたのよ」


『……。』


母「ねえA、今は辛いかもしれないけどこの先きっと楽しいことがある
それに看護師になるっていう夢、諦めてないでしょ?
…少し考えておいてね」



それを伝えるとお母さんは部屋を出た



『……宮益坂女子学園』


そこに行けば、少しは変われるのかな

…ううん、変わりたい、まだ、諦めたくない

今からでも間に合うなら、このチャンスを逃したくない…!



















『そうだ、私……』










ここは、夢の中で見た場所……なぜか落ち着く



「ようこそ、A」


『…誰?』


「私は、ミク」


『ミク…?だってミクは…それにどうして私の名前を』


「落ち着いて聞いてください、ここは、貴方が生み出した"セカイ”です」


『え…?』


「さきほどの過去、見たでしょう?
Aが蓋をして記憶から消そうとしていた想いが、こうして形になったのです」



確かにあれは確実に自分の、過去だった

でも……



『どうして私をここへ呼び出したの?』


「私はいつもここでを見守ってきました
だけど時が経つにつれてAは、1人になるといつも苦しい表情をするばかり
だから私は…Aをここに連れてこようと思ったんです
…そうすればAは、楽になれるのでしょう?」

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みずな(プロフ) - 面白かったです!連載終わっちゃったの寂しいな… (2022年3月24日 20時) (レス) @page9 id: 6e79866175 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らねい | 作成日時:2022年2月28日 18時

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