30話 過去と向き合え ページ32
Aside
ある光に吸い込まれたAは、気付けば真っ暗な空間にいた
『ど、どうしよう…あれ触るの、マズかったかな』
今更後悔したところで遅い気もするが、とにかく帰り道を探さないと
そう思い一歩踏み出したとき、一瞬にして視界が傾いた
『……ぇ…?』
体が言うことを聞かない、瞼が重くなりそこで意識が途切れた―――
『おかあさん、おとうさん、あのねAかけっこで2位だったんだよ!」
父「そうか、凄いじゃないか!」
母「それじゃあ今日はAが好きなカレーにしましょう」
私の両親は何かあるといつも褒めてくれた
何に対しても下から数えた方が早いが、今回は2位という素晴らしい結果だ
頭を撫でられただ褒めてもらうことが、Aにとって何よりも嬉しかったのだ
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ある日楽器店の前を通ったときだった
『おかあさん、あのおみせ、ちょっと見てもいい?』
母「楽器?いいよ、何か気になるものでもあるの?」
『…ピアノ』
テレビで観たときから、ずっと気になっていた
とても綺麗な音色で、聴いてると心地よくて…自分も弾いてみたいと思った
母「…それならちょっと見てみる?」
『!…うん!』
それからは習い事の1つや2つは経験しておいた方が良い、という両親の意見もありピアノを買ってもらうことになった
買ってもらったその日から毎日ピアノを弾くようになり、何よりも弾いていてとても楽しかった
はずなのに…
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ピアノ講師「今年も上手な人、たくさんいたわね」
私はピアノコンクールに一度も入賞することなく中学生になった
『すみません、何年もご指導してくださっているのに…』
「大丈夫よ、次も頑張りましょう、きっと上手くいくわ」
次?次なんてあるの…?
ただ好きという理由から始めたピアノ、きっかけは大体の人は同じだと思う
でも”本気”でやっている人の演奏は、他の人とは違った
だから頑張ろうと思った…いや、ただ上位になりたかった、賞が欲しかっただけかもしれない
でも何年経っても駄目だった
ピアノ、なんで好きだったんだっけ…?
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気付けばピアノを辞めていた
中途半端で辞め両親には申し訳ないと思い、今度は勉強に力を入れることにした
そうすれば報われる、そう思っていた
努力すれば良いんだって思ってた
それが間違いだったんだ
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みずな(プロフ) - 面白かったです!連載終わっちゃったの寂しいな… (2022年3月24日 20時) (レス) @page9 id: 6e79866175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らねい | 作成日時:2022年2月28日 18時