原石さんたちの病系短編集 part２

. ページ42

【樹】




パフォーマンスをしている最中、客席がざわめきだした。





どうして？





パフォーマンスは上手くいってるはずなのに。





バレないように他のメンバーとアイコンタクトを取るも、誰も知ってるようすはない。





....いや、いた。





後ろで踊っている北斗だ。





何かを俺に目で訴えかけてくる。





何だろう？





自分のパートを歌いきった後はきょものパートだ。





でも、聞こえてきた声は明らかに北斗で。





俺はふと、アリーナの一番前の席の人に目を向けた。





客席のところからなら、なにかわかるかもしれない。






すると、そのお客さんは自分が持ってきた、きょものうちわを俺に見せてきた後、ステージを指差した。





ここまでは理解できる。





そして、最後にそのお客さんは手で、ばつ印を作った。





「きょも」「ステージ」「ばつ印」





この三つの単語の意味....。





....あ！





もしかして、この意味は....！





俺はもう一度、そのお客さんをみる。





すると、お客さんは口パクで『京本くんがステージの上から落ちた』と伝えてくれた。





だから、北斗は....。





とりあえず、今の曲をやりきろう。





元々、構成上ではこの曲が終わると裏にはけて映像がながれるようになっている。





俺らはこの曲をやりきり、急いで裏にはけた。

.→←京本大我　　『怪我』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す